米国規制委員会トップ、暗号資産やステーブルコイン規制強化の方針

米国規制委員会トップ、暗号資産やステーブルコイン規制強化の方針

金融規制当局のトップで構成される米国の金融安定化監視協議会(FSOC)が、暗号資産のスポット市場やステーブルコインの監視を強化する法案など、暗号資産が金融システムにもたらすリスクに対応する法案を可決するよう、10月3日に議会に提言した。

同協議会は、ジョー・バイデン米国大統領が今年発表した「デジタル資産の責任ある開発の確保に関するための大統領令」を受けた報告書の中で、暗号資産規制における3つのギャップを指摘した。

その3つとは「有価証券ではないトークンの現物市場に対する限定的な監督」、「規制の裁定、または有利な規則を利用する機会」、「暗号資産関連企業はブローカーディーラーやクリアリングハウスなどの仲介業者が従来から提供している複数のサービスを統合することを許可されるべきかどうかについて」である。

また報告書が10月3日に開催されたFSOCの会議後に発表された。 ジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官は声明の中で、この報告書は「暗号資産の金融安定化リスクを軽減する一方で、イノベーションの潜在的利益を実現するために取り組む政策立案者に強力な基盤を提供するものである」と説明した。

FSOCはこれまで、ステーブルコインの発行者を銀行と同様に規制するよう議会に求めてきている。 そして10月3日の報告書には、ステーブルコインの発行者に対し、市場の健全性と消費者保護に対応する連邦政府の枠組みを作ることなど、議員への新たな提言がいくつか含まれた。

FSOCの報告書は、ホワイトハウスの大統領令に関連して先月発表された他の報告書群に続くものだ。バイデン政権は9月に一連の報告書を発表し、米国政府機関に対して暗号資産分野の取締りを強化し、規制の穴を明らかにするよう勧告している。 議会が暗号資産関連法案を可決する可能性はまだ不明だが、ステーブルコインや暗号資産関連の商品規制を扱う法案がいくつか提出されている。

またFSOCの報告書は、利益相反や不正な取引慣行に対処するため、証券ではない暗号資産の現物市場に関する規則制定権限を連邦金融規制当局に与える法案を議会で可決するよう提言している。

また国会議員は、規制当局に暗号資産企業の関連会社や子会社の活動を監督する権限を与える法案を検討すべきであり、FSOCは規制の裁定に対処することができると伝えている。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
翻訳:竹田匡宏(あたらしい経済)
(Reporting by Hannah Lang in Washington; Editing by Josie Kao)

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竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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