【取材】ビットフライヤーIEO参入、ナナメウエの暗号資産「YAY」発行に向け契約締結

ビットフライヤーIEO参入、ナナメウエの「YAY」発行に向け契約締結

国内で暗号資産(仮想通貨)取引所などを運営するビットフライヤー(bitFlyer)が、web3時代のバーチャルワールド「Yay!」を運営するナナメウエと、IEOによる資金調達に向けた契約締結を行ったことを823日に発表した。

 今回の契約締結により、ナナメウエは自らの運営するSNS/バーチャルワールド「Yay!」内で利用可能なトークン「YAY」の発行を、ビットフライヤーは「YAY」の受託販売をそれぞれ目指し、両社で取り組んでいくとのこと。

なおIEOInitial Exchange Offering)とは、トークンによる資金調達を暗号資産取引所が支援し、具体的には主体となって発行体のトークンを販売するモデルのことだ。

これまで国内においてIEOを実施したのは、Hashpalette(ハッシュパレット)によるコインチェックでのパレットトークン(Palette Token/PLT)と、サッカーJ2リーグに加盟する「FC琉球」によるGMOコインでの「FCRコイン(FCR)」がある。

なおビットフライヤーがナナメウエの発行するトークンの受託販売を行うにあたっては、今後ビットフライヤー自身による販売の可否の審査を経て、一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)から販売について承認を得る必要があり、現時点で販売の可否及び取引開始時期について確約されたものではないとのことだ。

ナナメウエ 代表取締役 石濵嵩博氏は次のようにリリースでコメントしている。

「国内最大級の暗号資産取引所であるbitFlyerの国内初のIEO実施に向けた契約提携を発表できたことを嬉しく思います。Yay!は、幅広い世代で多種多様なユーザーが日常的に使っており、ありのままの自分をさらけ出して、性別も、年齢も、住む場所も飛びこえ、自分の「好き」を心ゆくまで楽しめるバーチャルワールドです。今回、bitFlyerとのIEO実施に向けた取り組みにより、今まで以上に多くの投資家が信頼をおきながら新しいチャンスを掴み、そして、Yay!のユーザーの一人ひとりが、自分のコミュニティを作りあげていくプロセスに関れるようになることで、真のサステナブルなバーチャルワールドを実現できると確信しています」

IEO実施に向けた契約締結に関する記者発表会開催

今回の契約締結発表に伴い、同日13時から記者説明会が開催された。そこではビットフライヤーのIEO事業参入の背景及び意義、IEOに関する解説、ナナメウエのサービス「Yay!」についてが説明された。

「あたらしい経済」編集部は、記者会見にてビットフライヤー 新規事業開発部 副部長の大和省悟氏とナナメウエ代表取締役の石濵嵩博氏へ取材を行った。

(左)ビットフライヤー 新規事業開発部 副部長 大和省悟氏、(右)ナナメウエ代表取締役 石濵嵩博氏

−−国内でも複数の取引所が、IEO事業に取り組みはじめていますが、日本国内のIEO市場について、今後の見通しを説明していただけますか?

大和氏:現時点でトークン発行に関して、国内でIEOを活用してトークン発行するか国外で上場して、国内取引所でリスティングしてもらうかの2択です。そしてプロダクトの初期ユーザーが日本人である場合、日本でIEOを行う必要があります。また政府がweb3を含めた「新しい資本主義」を掲げており、今後もIEO市場は拡大していくと考えています。

−−またIEOトークン売り出し時の公正価値は、どのように算出していくのでしょうか?

大和氏:発行体の財務三表やトークノミクス、想定市場規模、類似のトークンの流通速度、ロックアップ期間、物価等をベースにトークン価格の範囲(レンジ)を出します。最終的には、IEO時の市場環境を鑑みて、トークンの公正価値を決定します。

−−IEO実施の目標時期は?

石濵氏:審査中であり、具体的な開示時期については別途告知予定です。

−−YAYトークン発行にあたってのブロックチェーンの選定状況は?

石濱氏:現状はイーサリアムベースで進める予定です。より具体的な詳細についてはホワイトペーパー公開と同時にお知らせいたします。

ナナメウエ、これまでのweb3への取り組み

ナナメウエは今年4月6日、シリーズBラウンドで16億円の資金調達し、「Yay!」事業をweb3化していくことを発表した。

その後同月14日に「YAYトークン」のIEO実現を目的に、ハッシュポート(HashPort)とパートナーシップを締結している。

このパートナーシップにより、ハッシュポートはナナメウエの「IEOパートナー」として、トークンエコノミーの設計、規制対応・法令遵守の助言、IEO実施暗号資産交換業者の選定、新規暗号資産取扱申請関連資料の準備、トークン価値算定ロジックの構築、販売・マーケティングの設計、ブロックチェーン技術の選定などの支援を提供するとしていた。

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※誤字等を含め本記事の一部内容を更新しました(2022年8月24日1時)。

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この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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