バイデンが署名した暗号資産関連の大統領令、その内容は?

バイデンが署名した暗号資産関連の大統領令、その内容は?

バイデン米大統領が暗号資産(仮想通貨)を含むデジタル資産関連の大統領令に署名したことが3月9日に分かった。この大統領令の内容は「FACT SHEET: President Biden to Sign Executive Order on Ensuring Responsible Development of Digital Assets」というタイトルで、全文が公開された。

この文書では、米国政府全体の方針の中で特に優先すべき重要事項として「消費者と投資家の保護、金融安定性、不正資金、世界の金融システムにおける米国のリーダーシップと経済競争力、金融包摂、責任あるイノベーション」が示された。

さらに「民主主義の価値と米国の国際競争力に見合った、デジタル資産の国際的関与とグローバル・ガバナンスにおいて、主導的な役割を果たす必要がある」としている。 ちなみにバイデン大統領が、デジタル資産に関する全体方針を示すまで至った背景には、デジタル資産市場の急速な成長があるようだ。

文書では「暗号資産を含むデジタル資産は、昨年11月に時価総額3兆ドルを突破し、そのわずか5年前には140億ドルだったものが、近年爆発的な成長を遂げている」としている。

政府独自の調査によれば、成人アメリカ人の約16%(約4000万人)が暗号資産に投資、取引、または使用したことがあるとのことだ。また文書では100カ国以上が、法定通貨のデジタル形式である中央銀行デジタル通貨(CBDC)を調査または試験的に導入していることにも触れられている。

今後、米国政府は同盟国やパートナー企業とは国家安全保障上のリスクに対応するために連携し、民間企業とはデジタル資産の技術的進歩を研究・支援するために連携していくとのことだ。

この米国政府の方針を受けてか、ビットコインやイーサリアム、またマイニング事業者の株価などが上昇した。ビットコインは9.1%上昇の42,280ドルで、2月28日以来最大の上昇率になり、イーサリアムは6.3%上昇の2,740ドルとなった。

さらにプロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジー・ETF(ProShares Bitcoin Strategy ETF)とヴァルキリー・ビットコイン・ストラテジー・ETF(Valkyrie Bitcoin Strategy ETF)は取引が始まるとそれぞれ9.8%と10.2%急騰した。

マイニング業者の株価も上昇しており、ライオットブロックチェーン(Riot Blockchain)は11.9%、マラソン・デジタル・ホールディングス(Marathon Digital Holdings)は14.6%急騰し、また暗号資産取引所コインベースグローバル(Coinbase Global Inc)の株価は9.4%上昇した。

参考:米国政府
images:Reuters

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

合わせて読みたい記事

【12/6話題】他社発行の暗号資産が法人課税の対象外に調整、グレイスケールの現物イーサリアムETF承認延期など

暗号資産の法人期末課税、他社発行分を対象外に調整へ。24年度税制改正に向け=日経、米SEC、グレイスケールの現物イーサリアムETFの承認判断を延期、コインベースウォレット、InstagramやTikTok等にUSDC送金可能に、ビットトレードにSAND・AXS・MKR・DAI・MATIC上場へ、南米最大デジタル銀行Nubank、Circle及びTalosと提携、ブラックロックのビットコインETF、シード資金で約1,473万円の調達、米SEC、テラ訴訟で暗号資産の証券性判断は「陪審ではなく裁判官が行うべき」と主張、南米最大デジタル銀行Nubank、Circle及びTalosと提携、電通とTOPPANがWeb3ウォレットの実証実験、アバターUI市場の可能性探る

Sponsored

米SEC、テラ訴訟で暗号資産の証券性判断は「陪審ではなく裁判官が行うべき」と主張

昨年5月に暴落した暗号資産(仮想通貨)「テラ:Terra(LUNA:ルナ)」の発行元であるテラフォームラボ(Terraform Labs)に対する民事訴訟で、同社が提供・販売する暗号資産(仮想通貨)が有価証券か否かの判断は陪審ではなく裁判官が判断する事項だと、米証券取引委員会(SEC)が主張している

コインベースウォレット、InstagramやTikTok等にUSDC送金可能に

web3ウォレット「コインベースウォレット(Coinbase Wallet)」から、インスタグラム(Instagram)やティックトック(TikTok)等のアプリユーザーへ米ドルステーブルコイン「USD Coin(USDC)」が送金可能になったという。同ウォレット提供の大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が12月6日発表した