エルサルバドル、ビットコイン法定通貨化の初日は波乱含み

ビットコイン法定通貨化の初日は波乱含み

エルサルバドルで7日、暗号資産(仮想通貨)ビットコインが法定通貨となった。なおエルサルバドルではこれまで米ドルを法定通貨としていたが、それにビットコインが加わった形になる。

エルサルバドル政府はビットコイン法定通貨化に合わせて政府公式のウォレット「チボ(Chivo)」をリリースしたが、7日そのウォレットに技術的問題が起きたほか、首都では市民が法廷通貨化に反対するデモを繰り広げ、ビットコイン価格は下落するなど、波乱含みのスタートとなった。

ブケレ大統領は午前0時過ぎに、政府が設けた電子財布「チボ(CHIVO)」が米アップル、米アルファベット傘下グーグル、中国の華為技術(ファーウェイ)のアプリストアでダウンロードできないと批判。ツイッターで3社を名指しし「リリースせよ」と迫った。

その後、ファーウェイでダウンロードが可能になったが、利用者登録の申請にアプリが対応できなくなり、政府は容量を増やすために接続を一時的に解除した。

午後になってダウンロードの状況が落ち着いたのを受け、大統領はマクドナルドやスターバックスなどで客がビットコインで決済をする様子を映したSNS上の動画をリツイートした。

なお実際にマクドナルド、スターバックス、ピザハットでビットコインが利用できるようになっているようだ。このビットコイン決済にはストライク(Strike)が開発・運用しているライトニングネットワークが活用されている。

なお「チボ」ユーザーに対し30ドル相当のビットコインを給付するされることが確約されている。現在は各アプリストアでダウンロードが可能で、同国のAppStore金融部門ランキングで1位となっていることもブケレ大統領はツイートしている。

なおエルサルバドル政府は、法定通貨化の前日6日に400BTC、及びその後7日に追加で150BTC、ここ2日間で550BTCを購入している。

また政府はビットコインをドルに換金して「チボ」から引き出せるATMの設置も進め、ビットコインの普及に努めている。

しかし、世論調査では、エルサルバドルの国民はビットコインのボラティリティーの高さを警戒し、使用に懐疑的であることが示されている。首都サンサルバドルでは1000人以上がビットコインの法定通貨化に抗議するデモを行った。

またエルサルバドルの人口の約半分はインターネットへのアクセスがなく、さらに多くの人はネット接続が限定的なため、貧困層を中心とするインフラの未整備がビットコインの普及を難しくする可能性がある。

兼ねてから世界銀行と国際通貨基金(IMF)はエルサルバドルのビットコイン法定通貨化の動きに懸念を示しており、マクロ経済でエルサルバドルが孤立する可能性もある。

そして法定通貨法案「ビットコイン法」の承認後、格付け会社ムーディーズはエルサルバドルの信用格付けを引き下げており、同国のドル建て債券も売り圧力にさらされている状況だ。

ビットコイン価格は昨晩から一時10%以上下落し、現在(8日午後12時)1BTCは5,192,276円となっている。コインベースやクラーケンなど大手取引所でのシステムトラブルの要因もあるが、エルサルバドルのビットコイン法定通貨化の混乱の影響を受けたとも考えられる。

今回のエルサルバドルの取り組みは、ビットコイン価格のボラリティリティや世界経済と調和など、様々な課題を包摂しているが、一国家がどの国にも属しないP2Pデジタル通貨を法定通貨にしたことは、歴史の1ページに刻まれるだろう。

参考:REUTERS
images:REUTERS/Jose Cabezas/File Photo

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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