デジタル人民元のホワイトペーパー公開、スマートコントラクトが基盤に

デジタル人民元のホワイトペーパー公開、スマートコントラクトが基盤に

中国の中央銀行である中国人民銀行(PBoC)が、デジタル人民元の概要書(ホワイトペーパー)を初めて7月16日に公開した。デジタル人民元は中国が発行予定の中央銀行デジタル通貨(CBDC)だ。

ホワイトペーパーによれば、デジタル人民元発行プロジェクトは「e-CNY」と呼称されている。またデジタル人民元はスマートコントラクトをベースにプログラム設計されているようだ。ただし具体的なロードマップや公式発表のスケジュールはまだ決まっていない。

そしてデジタル人民元発行に向け中国が本格的に動き出した背景には、暗号資産(仮想通貨)の台頭と既存の金融システムにもたらすリスクや課題が浮かび上がったからとのことだ。

暗号資産に関してホワイトペーパーでは「ビットコインに代表される暗号資産は、ブロックチェーンと暗号化技術を採用しており、非中央集権的で完全な匿名性を持つとされています。しかし本質的な価値がなく、価格変動が激しく、取引効率が悪く、エネルギー消費量も大きいため、日常的な経済活動で使われる通貨としての役割を果たすことはできません。さらに、暗号資産はほとんどが投機的な商品であるため、金融の安全性や社会の安定性に対する潜在的なリスクがあります」と説明されている。

また民間企業が発行するステーブルコインのリスクについて「一部の民間企業は、グローバル・ステーブルコインの発行を計画していますが、これは国際通貨システム、決済システム、金融政策、クロスボーダーの資本フロー管理などにリスクと課題をもたらすでしょう」と説明されている。

なおこれまでにデジタル人民元はリテール向けウォレット2,000万、エンタープライズ向けウォレット7,000万件を通して、総額約5,800億円(53億ドル)の取引が行われたとのことだ。

参考:WP
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Olga_Z

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

合わせて読みたい記事

カルシ、米国向けにセイネイティブの「SEI」と「USDC」入出金に対応

米予測市場プラットフォームのカルシ(Kalshi)で、レイヤー1ブロックチェーン「セイ(Sei)」のネイティブトークンSEIおよび同ネットワーク上の米ドル建てステーブルコインUSDCの入出金が可能になり、同資産を用いたイベント契約取引の資金移動ができるようになった。Xより12月3日に発表されている

シタデル・セキュリティーズ、トークン化証券とDeFiに取引所・証券会社規制の適用を提言。業界側から反発の声も

米大手マーケットメイカーのシタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)が、トークン化された米国株式を取り扱うDeFi(分散型金融)プロトコルに対しても、取引所およびブローカー・ディーラーとしての規制を適用すべきだとする意見書を米証券取引委員会(SEC)に12月2日に提出した