DeFi教育基金が約11億円相当のユニスワップUNI売却しUSDCに、議論呼ぶ

DeFi教育基金が約11億円相当のユニスワップUNI売却しUSDCに、議論呼ぶ

非営利団体のDeFi教育基金(Defi Education Fund)が7月初旬にDeFiのユニスワップ(Uniswap)の資産管理のガバナンスグループから約22億円(2,000万ドル)相当のUNIの資金提供を受けていたが、その半分を売却し、USDCを取得したと7月13日にツイートで明らかにした。

UNIはユニスワップが発行するガバナンストークンで、USDCはサークルとコインベースが発行する米ドルステーブルコインだ。DeFi教育基金の目的は、DeFiエコシステムの中で、規制に関する最善の方法を推進する組織や活動に資金を提供することとのことだ。

そしてDeFi教育基金の多額のUNI売却が、現在賛否両論を生んでいる。なぜならDeFi教育基金は資金提供を受ける前に、今後4~5年かけて受け取ったUNIを配分していくと約束していたからだ。

ちなみにユニスワップはDeFi教育基金への資金提供に関する投票を6月30日に行っていた。また投票結果は賛成が73%、反対27%となっていた。

DeFi教育基金は受け取ったUNIを半分売却した理由について「DeFi教育基金の経費の大部分はドル建てであることが予想されるため、UNI資金はドルに分散させなければなりません。総額の半分を分散させることで、DeFi教育基金は市場の低迷を乗り切るための持続可能な予算を確保し、迅速に業務を開始することができます。時間は最重要事項です。

世界中の規制当局や政策立案者は、現在、DeFiを注視しています。彼らの中には、DeFiが提供するメリットを理解している人もいますが、他の多くの人は、彼らが通常規制する仲介者を欠いた分散型金融システムに懐疑的です。

先週、エリザベス・ウォーレン上院議員は、ゲイリー・ゲンスラー米証券取引委員会(SEC)委員長に宛てて、既存の分散型取引プロトコルや関連アプリケーションに直接影響を与えるような規制措置を要求しました。また、欧州の規制当局は、イノベーションを大きく阻害する可能性のある規則を検討しています。

つまり規制リスクは、過去数年にわたってコミュニティが慣れ親しんできたDeFiのサービスと自由に対する唯一最大の脅威であると考えています。DeFi教育基金はDeFi業界を代表して立法者や規制当局に働きかけるための資金を提供することで、現実的なアプローチによってこれらを保護しようとしています」とブログで説明している。

またDeFi教育基金はUNIの売却時をマーケットメイカーのジェネシス(Genesis)を利用して行った。その理由として「ジェネシスのトップマーケットメーカーとしての評判、競争力のある手数料体系、迅速で簡単な導入」などが説明されている。また全ての売却取引に関して監査可能とのことだ。

DeFi教育基金は7月10日に500,000UNIの売却をGenesisに依頼し7月12日の午後3時までに、GenesisはそのUNIの売却を平均価格20.4ドルで完了させたとのことだ。そしてその後、月曜日にマルチシグウォレットからGenesisに500,000UNIを送ったところ、USDCで約1,020万ドルが送られてきたとのことだ。

今後DeFi教育基金は今回のようなUNIの売却はせず、ユニスワップ・プロトコルを使い分散投資をしていく方針とのことだ。 

編集部のコメント

ユニスワップのガバナンス参加者らは、DeFi教育基金に対して、説明責任を果たすべきだと議論するのは然るべきことだと思います。

株式会社であれば、会社法などに基づきガバナンスが効かせられていますが、現在のDeFiプロトコルはそのような状態にありません。

だからこそ今後DeFiプロトコルのガバナンスがどれくらいプロトコル全体に正しく影響力を持たせていくか期待したいと思います。

参考:UNIDefi Education Fund
デザイン:一本寿和
images:iStocks/BadBrother

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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