サイファーパンク、世界最大のジーキャッシュマイニング設備群を稼働。ネットワークの約18%

約53億円相当のワラント発行で設備取得、ZEC保有目標5%の達成加速へ

米ナスダック(Nasdaq)上場のプライバシー技術企業サイファーパンク・テクノロジーズ(Cypherpunk Technologies)が、プライバシー保護型ブロックチェーン「ジーキャッシュ(Zcash)」のマイニング事業「サイファーパンク・マイニング(Cypherpunk Mining)」を開始したと8月18日に発表した。同社によると、同事業のマイニング設備群はジーキャッシュ向けとして世界最大だという。

同設備群は米国内の施設ですでに稼働しており、マイニングアルゴリズム「エクイハッシュ(Equihash)」で合計約4.2 GSol/sのハッシュレートを稼働させている。これは現在、ジーキャッシュネットワーク全体のハッシュレートの約18%に相当する。Sol/s(ギガソリューション・パー・セカンド)は、1秒間に計算できるソリューション(解)の数を示す単位だ。

設備の取得は、サイファーパンクと同社の完全子会社サイファーパンク・マイニング(Cypherpunk Mining)、モリア・マイニング(Moria Mining)、ウィンクルボス・トレジャリー・インベストメンツLLC(Winklevoss Treasury Investments:WTI)の4社が締結した資産購入契約に基づく。

同契約によりサイファーパンク・マイニングは、モリア・マイニングから、合計約4.2 GSol/sのハッシュパワーを持つ最新世代のマイニングマシン「Z15 Pro」と、関連するホスティング契約などを取得した。購入価格は3,333万3,333ドル(約53.1億円)となる。

購入対価は現金ではなく、WTIに対するプレファンデッド・ワラント(事前払込型新株予約権)の発行によって支払われた。同ワラントでは、サイファーパンクの普通株式4,329万42株を1株当たり0.001ドル(約0.16円)で取得できる。普通株式の取得価格は1株当たり0.77ドル(約123円)を反映したものだ。

ワラントは株式そのものではなく、一定の条件を満たした場合に株式を取得できる権利だ。同社が米証券取引委員会(SEC)へ提出した報告書「フォーム8-K(Form 8-K)」によると、同ワラントの行使には、WTIの行使後の実質保有比率を19.99%以下に抑える制限が設けられている。

また、537万7,442株を超えるワラント対象株式の発行には、ナスダックの規則に基づく株主承認が必要となる。サイファーパンクは、承認を得るための議案を次回の年次株主総会に提出する予定だ。なお、WTIはすでにサイファーパンク株式の19.9%を実質保有しており、設備の売り手であるモリア・マイニングはWTIの関連会社だ。

ジーキャッシュネットワークでは、毎月約4万3,800ZECがマイナー全体に報酬として付与される。サイファーパンクは、マイニングにより現物価格を大幅に下回る生産コストでZECを取得できるとし、ZEC供給量の5%を保有する目標の達成を加速させるとしている。

サイファーパンクは現在、32万3,394.38ZECを保有している。これはジーキャッシュの流通供給量の約1.92%に相当し、同社によると法人として最大の保有量だという。同社は、マイニングへの参加によってジーキャッシュネットワークの安全性を高めるとともに、自社が保有するZECトレジャリーの価値向上につなげる考えだ。

また今回、サイファーパンクのマイニング責任者にケビン・ジャン(Kevin Zhang)氏が就任した。ジャン氏は2014年にビットコイン(Bitcoin)、2016年にジーキャッシュのマイニングを開始した人物だ。発表によると、同氏は北米最大級のビットコインマイニング施設を複数構築し、ファウンドリー(Foundry)では世界最大のビットコインマイニングプールの構築などに携わったという。

サイファーパンクの旧社名は、リープ・セラピューティクス(Leap Therapeutics)だ。同社はがん治療薬を開発するバイオテック企業で、2025年11月12日に現在の社名へ変更するとともに、ジーキャッシュのネイティブトークンZECを蓄積するトレジャリー(財務資産)戦略を開始した。

同社は社名変更時、20万3,775.27ZECを5,000万ドル(当時約77.4億円)で購入した。この購入には、ウィンクルボス・キャピタル(Winklevoss Capital)が主導したPIPE(限定投資家向け私募増資)で調達した5,888万ドル(当時約91億円)が充てられた。その後もZECを追加購入し、2025年12月末には保有量を29万62.67ZECまで増やしていた。

ウィンクルボス・キャピタルは、海外暗号資産(仮想通貨)取引所ジェミナイ(Gemini)の創業者であるキャメロン・ウィンクルボス(Cameron Winklevoss)氏とタイラー・ウィンクルボス(Tyler Winklevoss)氏が設立した投資会社だ。

現在のサイファーパンクは、ZECの蓄積と、プライバシー関連技術への投資・買収・開発を事業の2本柱としている。また、ジーキャッシュウォレットを提供するZODLにも出資している。一方、子会社リープ・セラピューティクスを通じて、がん治療薬候補「シレキサタマブ(sirexatamab)」および「FL-501」の開発も継続している。

参考:プレスリリースSEC提出資料
画像:PIXTA

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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