BIS「プロジェクト・アゴラ」、実価値を伴う国際決済テスト結果公表。28機関が約80万スイスフラン相当を取引

実価値を伴う国際決済テストを完了

国際決済銀行(BIS)と国際金融協会(IIF)が共同で進める官民連携プロジェクト「プロジェクト・アゴラ(Project Agorá)」が、実際の価値を伴うトークン化された決済資産を用いた国際決済テスト「リアル・バリュー・テスティング(Real Value Testing:RVT)」の結果を7月30日に公表した。

プロジェクト・アゴラでは、中央銀行マネーと民間マネーをトークン化し、銀行や金融機関同士が行う大口の国際決済を、共有型のプログラム可能なプラットフォームで処理する仕組みの実現可能性が検証されている。

同プロジェクトは今年5月、トークン化された中央銀行準備預金と商業銀行預金を活用したプロトタイプの成果を公表していた。今回はその次の段階として、実際の価値を持つ決済資産を利用した取引を実施し、その結果をまとめたという。

今回のテストには、アジア、欧州、北米の金融機関および中央銀行の計28機関が参加した。17種類の取引シナリオを対象に、総額約80万スイスフラン(約1.59億円)相当の取引を実施したとのこと。1件当たりの取引額は9,000〜12万5,000スイスフラン(約179万円〜2,489万円)、または各国通貨での同等額だった。

今回利用した決済資産は、単なるテスト用データではない。銀行が中央銀行に保有する準備預金や、商業銀行が提供する銀行預金をトークン化したものだ。BISは、これらを用いて実際の価値を伴う取引を実施した。

テストでは、企業向け決済や銀行間決済のほか、単一通貨および二通貨での決済、銀行グループ内の資金移動などが検証された。また、ペイメント・バーサス・ペイメント(Payment versus Payment:PvP)も実施された。これは異なる通貨の支払いを同時に成立させ、一方の支払いだけが完了するリスクを抑える仕組みだ。

プロトタイプは既存の即時グロス決済システム(RTGS)や銀行の基幹システムと直接統合されていなかったものの、決済開始から完了までの平均時間は約80秒だったという。

参加機関は、決済状況や送金経路を取引開始から完了まで確認できる点や、企業向け決済をプラットフォーム上で直接実行できる点などを利点として挙げたとのこと。

BISは今回のテストについて、中央銀行準備預金と商業銀行預金に裏付けられたトークン化された決済資産を活用し、複数通貨に対応する共有型かつプログラム可能なプラットフォームで、実際の価値を伴う国際決済を実現できる可能性を示したとしている。

参考:BIS 
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

合わせて読みたい記事