デモアプリ「Kura Pay」もパートナー企業向けに提供
ブロックチェーン技術に関する企画・開発を手がける国内企業データチェーン(Datachain)が、企業向けオンチェーンプライバシー基盤「クラプライバシー(KuraPrivacy)」のサービスAPIをテストネットで提供開始したと7月29日に発表した。
併せてデータチェーンは、クラプライバシーの主要機能をブラウザ上で試せるデモアプリ「クラペイ(Kura Pay)」を、パートナー企業向けに提供開始した。
今回提供されたサービスAPIは、決済事業者やウォレット運営事業者が、クラプライバシーによるプライベート送金機能を自社サービスへ組み込むためのものだ。
同APIでは、ゼロ知識証明(取引内容を明かさずに、その正当性を証明する暗号技術)の生成や、ブロックチェーンとの同期、暗号化された取引状態の管理などをクラプライバシー側で処理する。これにより事業者は、複雑な暗号処理を一から構築することなく、プライベート送金機能を導入できるという。
パブリックブロックチェーンでは通常、送受信者のアドレスや取引金額、資産残高などが誰でも確認できる。一方で、企業や機関投資家がオンチェーン取引を行う場合、取引先や取引額などの機密情報が公開されることが導入上の課題となる。
クラプライバシーは、こうした取引情報を第三者から秘匿しながら、監査人や経理担当者など、指定された相手には取引履歴や残高を開示できる「選択的開示」に対応する。また、許可リストおよび拒否リストに基づく送金制御や、あらかじめ設定されたポリシーに基づく資産の強制移転など、企業の監査・コンプライアンス対応を想定した機能も備える。
サービスAPIでは、通常のウォレットからプライベートアカウントへ送金する際、受取先だけを第三者から秘匿できる。この場合、送信元アドレスと送金額はオンチェーン上で公開される。一方、送受信の双方がプライベートアカウントを利用する場合は、送信者、受信者、送金額の全てを第三者から秘匿できるという。
また、閲覧専用キーを発行することで、指定された監査人や経理担当者に、特定アカウントの取引履歴や残高を閲覧する権限のみ付与できる。閲覧専用キーでは資産を移動できず、送金には別途、署名用の鍵による承認が必要となる。
認証・署名方式については、EOA(秘密鍵で管理する一般的なウォレットアカウント)やウェブオースン(WebAuthn)を利用したパスキー、マルチシグを含むコントラクトウォレットに対応する。既存の認証基盤や鍵管理の仕組みを大きく変更することなく、プライバシー機能を追加できるとのこと。
一方、デモアプリのクラペイでは、ステーブルコインなどの資産をパブリックチェーンから秘匿口座へ入金する機能や、送信者・受信者・金額を秘匿した送金、送金元を秘匿したまま通常のウォレットアドレスへ出金する機能を試せる。また、閲覧専用キーを用いた取引履歴や残高の確認にも対応する。
データチェーンは、ステーブルコインを利用した決済サービスやウォレットを検討する企業に対し、クラペイとサービスAPIのテストネット環境を提供する。同社は、サービスへの組み込み方法や共同実証実験、商用導入に向けた流れとスケジュールなどについて相談を受け付けている。なお、開発者向けSDKは今後提供される予定となっている。
同社は6月15日、クラプライバシーの初期ローンチパートナープログラムを開始。同プログラムには、暗号屋、ガイア(Gaia)、ガルシス(GALLUSYS)、グリーンモンスター、幻冬舎、Speee、トレーダム、日本ブロックチェーン基盤、フラクトンベンチャーズ(Fracton Ventures)、HODL1(ホドルワン)の10社が参画している。
【お知らせ】@KuraPrivacy Service APIのテスト版提供を開始しました。あわせて、秘匿送金をブラウザで体験できるデモアプリ「Kura Pay」をパートナー企業向けに提供します。…
— Datachain (@datachain_jp) July 29, 2026
参考:データチェーン
画像:iStocks/PIXTA