米政府、予測市場規制めぐり3州を提訴。州の賭博法適用に反発

予測市場規制めぐり米3州が提訴

ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権が、予測市場に対する州法上の賭博規制の適用は違法だとして、アリゾナ州、コネティカット州、イリノイ州を4月2日に提訴した。

政府は、カルシ(Kalshi)、ポリマーケット(Polymarket)、クリプトドットコム(Crypto.com)、ロビンフッド(Robinhood)などの企業による「イベント契約(event contracts)」の提供を各州が止めようとすることは、全米スワップ市場の規制に関する米商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission:CFTC)の専属的権限を侵害するものだと主張している。

イベント契約は、スポーツや選挙など、さまざまな出来事の予測結果に基づいて取引できる仕組みである。

今回の訴訟は、州のゲーミング規制当局が予測市場の運営事業者を取り締まることを阻止するために、CFTCが起こした初の訴訟となる。

政府は、カルシ、ポリマーケット、クリプトドットコムのような指定契約市場(designated contract markets)や、ロビンフッドのような先物委託業者(futures commission merchants)に対して送付された業務停止を求める書簡に異議を唱えている。これらの書簡は、無認可のスポーツ賭博を認めたことで州の賭博法に違反している疑いがあると各州規制当局が判断したことを受けたものだ。なおアリゾナ州は、カルシに対して刑事訴追も行っている。

CFTCのマイケル・セリグ(Michael Selig)委員長は声明で、同委員会は「これらの市場に対する専属的な規制権限を引き続き守り、過剰に介入する州規制当局から市場参加者を守る」と述べた。

民主党主導州が提訴対象に

被告には、各州の知事と司法長官が含まれている。アリゾナ州ではケイティ・ホッブス(Katie Hobbs)州知事とクリス・メイズ(Kris Mayes)司法長官、コネティカット州ではネッド・ラモント(Ned Lamont)州知事とウィリアム・トング(William Tong)司法長官、イリノイ州ではJB・プリツカー(JB Pritzker)州知事とクワメ・ラウル(Kwame Raoul)司法長官である。

いずれも民主党所属で、各州のゲーミング規制当局も被告に名を連ねた。なお、トランプ大統領は共和党所属である。

トング氏は声明で、「トランプ政権は、全米の連邦地裁で退けられてきた業界側の主張を繰り返している」と述べたうえで、「コネティカット州の常識的な消費者保護法を積極的に守る」とした。

またプリツカー氏の報道担当者は、トランプ政権がイリノイ州の管轄権を回避し、「基本的な消費者保護や監督もないゲーミング商品に州民をさらしながら利益を優先する」予測市場事業者に肩入れしていると批判した。 ・一方、メイズ氏の事務所はコメントを控えた。

米政府、各州は連邦法を損なっていると主張

アリゾナ州、コネティカット州、イリノイ州はいずれも、米国の大半の州およびワシントンD.C.と同様に、スポーツベッティングを合法化している。

ただし多くの州や部族系ゲーミング当局は、21歳未満による賭けを禁じる規定に違反しているとして、予測市場を排除しようとしてきた。

連邦政府は、コネティカット州とイリノイ州がイベント契約の性質を「誤解している」と主張した。その結果、これらの州が当該契約を提供する企業を規制・認可できると考えるに至っており、そのような規制を認めることは米国憲法に違反するとしている。

各訴状では、「被告による連邦法の統一的適用を損なう継続的な試みに、裁判所は終止符を打つべきだ」と述べられている。

アリゾナ州は3月17日、州として初めてカルシに対する刑事訴追を行い、違法な賭博を認めたことや、選挙への賭けを違法に許可したことを非難した。

これに対しカルシは、自社は賭博事業者ではなく、州ごとに異なる一貫性のない法体系に従わされるべきではないと反論した。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
US sues Arizona, Connecticut, Illinois to stop regulation of prediction markets
(Reporting by Jonathan Stempel in New York; Additional reporting by Chris Prentice and Nate Raymond; Editing by Mark Porter and Aurora Ellis)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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