ENS、独自L2「Namechain」開発中止。ENSv2はイーサメインネットに展開へ

ENSがENSv2をイーサメインネットに直接デプロイ

イーサリアム基盤のアドレスネーミングサービス「イーサリアム・ネーム・サービス(Ethereum Name Service:ENS)」の開発元であるENSラボが、独自レイヤー2(L2)ソリューション「ネームチェーン(Namechain)」の開発を中止すると2月6日に発表した。

ネームチェーンは、ENSの次期アップグレード「ENSv2」のために構築が進められていたL2チェーンだ。

ENSラボは、今回ネームチェーンの開発は中止するものの、ENSv2の開発や提供計画自体に変更はないと説明している。ENSv2は、当初想定していたネームチェーン上ではなく、イーサリアムメインネットに直接デプロイするとしている。

ENSv2は、ENSのアーキテクチャを再設計する大規模アップグレードとして位置付けられており、各ENS名ごとに独立したレジストリを持たせる新しい設計や、所有権モデルの改善、登録・管理フローの簡素化などが盛り込まれている。

ENSラボは2024年、ENSv2の構想とあわせてENS専用のL2チェーンとしてネームチェーンの開発を進めていくことを発表していた。当時は、イーサリアムメインネットのガス代が高騰しやすく、ENS名の登録や更新といった基本的な操作でも数十ドルのコストが発生する状況が続いていた。こうした環境を背景に、ENSラボはゼロ知識証明(zero-knowledge proof)を用いた独自L2チェーンを構築し、ガスコストの削減やパフォーマンス向上、マルチチェーン相互運用性の強化を図る方針を示していた。ネームチェーンは、ENSv2と一体の計画として受け止められていた。

一方でENSラボは今回、イーサリアムメインネットのスケーリングが想定以上に進展したことが判断の前提になったと説明している。2025年にはイーサリアムのブロックガスリミットが30Mから60Mに引き上げられ、これによりENS登録にかかるガスコストはこの1年で約99%低下したという。ENSラボによると、現在のENS名登録にかかる平均ガスコストは約0.05ドル(約8円)未満となっている。また、今後はさらに高いガスリミットが検討されており、メインネットの処理能力向上が見込まれているとしている。

こうした状況を踏まえ、ENSラボは独自L2チェーンを運用することによる技術的な複雑性や運用コストと、現在のイーサリアムメインネット環境を比較した結果、独自L2チェーンを構築する合理性が低下したと判断したとしている。

ENSラボは、ネームチェーンの開発中止がENSv2の価値を損なうものではない点も強調している。ENSv2では、単一ステップでの登録や、異なるEVMチェーン上の資産を用いた支払いなど、ユーザー体験を改善する機能は引き続き提供されるという。

またENSラボは、「ENSアップ(ENS App)」および「ENSエクスプローラー(ENS Explorer)」のパブリックアルファ版を公開し、簡素化された登録フローやマルチチェーン対応、柔軟な所有権モデルなどの検証を開始している。

同社は、イーサリアムメインネットへの集中が、L2や他チェーンへの対応を否定するものではないとも説明している。ENSは引き続き、オプティミズム(Optimism)やアービトラム(Arbitrum)などのEVMチェーン上の資産を扱えるほか、ビットコイン(Bitcoin)やソラナ(Solana)など非EVMチェーンにも対応していく方針だ。

参考:ENS 
画像:PIXTA

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