金融機関のトークン化預金サービス導入検討が進む
米大手金融機関バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(Bank of New York Mellon:BNY)が、ブロックチェーン技術を活用した「トークン化預金」の導入を検討しているようだ。「ブルームバーグ(Bloomberg)」がBNYメロンのエグゼクティブ・プラットフォーム責任者を務めるカール・スラビッキ(Carl Slabicki)氏へのインタビューをもとに10月7日に報じた。
スラビッキ氏は同インタビューで、今回の取り組みがBNYメロンの「インフラ近代化プロジェクト」の一環であると説明した。同社はリアルタイム決済、即時送金、国際送金の拡大を進めている。その中でトークン化預金は、銀行が抱えるレガシー技術の制約を克服し、より迅速で効率的な資金移動を可能にするものだという。
BNYメロンはニューヨークを拠点とする世界最大級のカストディアン銀行だ。財務サービス事業では1日あたり約2.5兆ドル(約380兆円)規模の決済を処理している。同社は近年ブロックチェーン活用に積極的で、2025年7月にはゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)と協力し「マネー・マーケット・ファンド(MMF)」の所有権記録をブロックチェーン上で管理する実証実験を開始した。
またBNYは、国際送金ネットワークのスイフト(SWIFT)とも提携し、ブロックチェーンベースの共有台帳の設計に取り組んでいる。このプロジェクトでは、リアルタイムでのクロスボーダー決済を可能にする仕組みの構築を目指しているという。
なお類似の事例として、今年6月にJPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)がドル預金を表すトークン「JPMD」のパイロット運用を開始した。さらに9月には英国の銀行・金融サービス業界団体UKファイナンス(UK Finance)が、ポンド建てトークン化預金プロジェクト「GBTD(グレート・ブリティッシュ・トークナイズド・デポジット)」の実証実験を開始している。
参考:ブルームバーグ
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