タイSEC、暗号資産の個人投資家向け知識テスト要件を緩和へ

規制緩和の新規則案を公表

タイ証券取引委員会(SEC)が、個人投資家向けの暗号資産(仮想通貨)投資に関連する知識テストの再受験義務を撤廃する方針を7月18日に発表した。すでにテストに合格している投資家については、再テストの免除が提案されている。

現在の規則では、機関投資家や超富裕層、高額資産保有者に該当しない法人は、ICOプラットフォームを通じて投資を行う前に、3カ月ごとに知識テストを受けることが義務付けられている。

今回の提案では、すでに知識テストに合格している投資家が、その合格から3カ月以内であれば再テストを免除するという内容が盛り込まれている。

さらにSECは、ICOポータル事業者に対し、サービス提供前に投資家の「適格性テスト(Suitability Test)」の実施を義務付ける方針も明示。加えて、このテストについては少なくとも2年ごとに見直し・更新を行うことも要件として定める。

この新規則に対するパブリックコメントの募集は、8月1日まで実施されている。

デジタル資産への前向きな政策姿勢も継続

タイはアジア圏でも早期に暗号資産関連の規制制度を導入した国の一つとして知られる。現在は歳入局がOECDの情報交換基準(CRS)に準拠した体制整備を進めている。

加えて、暗号資産に対して比較的寛容な姿勢を取っており、2024年1月以降は、SEC認可事業者を通じた暗号資産の譲渡取引に対して課されていた7%の付加価値税(VAT)を免除している。

さらに、2025年1月1日から2029年12月31日までの5年間、認可済み取引所を通じた暗号資産の売却益に対するキャピタルゲイン税を免除する制度も導入された。これは暗号資産投資の活性化と、適正な申告促進を目的とするものだ。

また、2025年中にはタイ財務省がデジタル投資トークン「Gトークン」を発行予定であり、これにより個人投資家がブロックチェーン上で政府債にアクセス可能となる見込みだ。

参考:発表
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

シタデル・セキュリティーズ、トークン化証券とDeFiに取引所・証券会社規制の適用を提言。業界側から反発の声も

米大手マーケットメイカーのシタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)が、トークン化された米国株式を取り扱うDeFi(分散型金融)プロトコルに対しても、取引所およびブローカー・ディーラーとしての規制を適用すべきだとする意見書を米証券取引委員会(SEC)に12月2日に提出した