Polygonが「Heimdall v2」アップグレード実施へ、取引の確定時間が5秒に短縮

Polygonが7月10日に大型アップグレード「Heimdall v2」を実装

ポリゴン(Polygon)の大型アップグレード「ヘイムダル v2(Heimdall v2)」が7月10日に実装される予定だ。ポリゴン財団(Polygo Foundation)のCEOサンディープ・ナイルワル(Sandeep Nailwal)氏が7月9日に同アップグレード実施についてアナウンスを行った。

なお、このアップグレードは2020年のPolygon PoS(プルーフオブステーク)ローンチ以来、最も技術的に複雑なハードフォークとされている。

「ヘイムダル v2」は、ポリゴンのPoSネットワークの中核となる近代化されたコンセンサスクライアントだ。前バージョンと同様にバリデーター管理やブロック生成者の選択、イーサリアム(Ethereum)とポリゴン間のステート同期機能などを担当する。このアップグレードにより、トランザクションのファイナリティ(確定時間)が現在の数分から約5秒に短縮される見込みだ。

新バージョンでは、Cosmos SDK v0.50.13とCometBFT v0.38.17のフォーク版を使用してコンセンサスを実現する。また、認証やガバナンスなどには、Cosmos SDKモジュールの修正版と、バリデーター管理やチェックポイント機能などの完全カスタマイズモジュールを活用している。

技術的な変更点として、データエンコード形式がHex形式からBase64形式に変更される。さらに、バリデーターの署名鍵をトランザクション署名のためキーリングにインポートする必要がある実装に変更されるという。これにより、プライベートキーの管理がより安全になるとのことだ。

また新機能として「マイルストーンモジュール(Milestone module)」が導入される。同機能では、ブロックの確定をより効率的に行うためのチェックポイント「マイルストーン」がトランザクションから最低12ブロック後に提案され、ネットワークの3分の2以上がこの「マイルストーン」に合意すると確定される。そして「マイルストーン」以前のすべてのトランザクションは最終的なものとみなされ、再編成の可能性がなくなる。

ナイルワル氏は、このアップグレードにより2018年から2019年時代の古い技術的負債が解消されると説明している。なおメインネットでのアップグレード実行時間は、トラブルシューティングや準備時間を除いて約30分と見積もられている。

なお今回のナイルワル氏の告知を受けて、ポリゴンのネイティブトークン「POL」の価格は直近24時間で6.2%上昇した。

参考:ポリゴンフォーラム
画像:iStocks/mouu007・artsstock

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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