米財務省FinCENが暗号資産ウォレットを銀行秘密保護法の適用範囲にする意向

米財務省FinCENが暗号資産ウォレットを銀行秘密保護法の適用範囲にする意向

米財務省のFinCEN(金融犯罪捜査網)が管理者が存在していない(非ホスト)型の暗号資産(仮想通貨)ウォレットの取締を強化するための規制案を12月18日に発表した。

FinCENが提案する規制案は2021年1月4日までパブリックコメントを募集していて、兌換可能な暗号資産と法定通貨のデジタル資産を金融商品に分類し、銀行秘密保護法(Bank Secrecy Act/BSA)の要件の対象とすることを提案している。

FinCENによれば「銀行秘密保護法(Bank Secrecy Act/BSA)のSEC(米国証券取引委員会)及びIRS(米国内国歳入庁)への報告義務と記録義務の対象拡大は、暗号資産が関与する不正な金融を阻止するためのもの」とのことだ。銀行秘密保護法とは米国で1970年に制定された連邦法。法律の内容としては、米国の金融機関はある一部の顧客を除く顧客情報については、原則として秘密として扱うことが認められているものとなっている。

今回の規制案では約31万円(3,000ドル)を超える引き出しに対して、ウォレットのサービスプロバイダーは顧客身元確認(KYC)の強化が必要となる。またウォレットサービスプロバイダーは約103万円(1万ドル)を超える取引の場合にはSECやIRSへ報告しなければならなくなるという内容だ。

またFinCENは「米国当局は、国際的なテロ資金調達、武器拡散、制裁回避、国境を越えたマネーロンダリングを促進するために、悪質な行為者が暗号資産と暗号資産の決済(Crypto Versus Crypto/CVC)を使用するケースが増えていることがわかってきています。それは特に匿名性を強化した暗号資産、またはモネロのようなプライバシーコインは違法行為との十分な文書化された接続を持っています」と伝えている。

FinCENの規制案に対して、スティーブン・ムニューシン財務長官と先週会った議員からも反対の声が出ている。その議員は、ワイオミング州の上院議員でビットコイン保有を公言しているシンシア・ルムミス氏だ。彼女は「私は財務省が自己ホスト型デジタル資産ウォレットと銀行秘密保護法(BSA)を管理するための早急なルールを検討していることを深く憂慮しています。この複雑なテーマに関する規則を早々に採択するのではなく、財務省は米国を前進させるためのコンセンサスを構築し、議会や産業界と関与するための透明性の高いプロセスを直ちに開始すべきです。アメリカは金融の将来を巡って、中国やロシアとの競争力を競い合っています。デジタル資産や金融技術の変革効果を実感し始めている今、幅広いコンセンサスがなければ、一歩後退したルールになってしまいます」とツイートしている。

(images:iStock/bakhtiar_zein・vitacopS・antoniokhr)

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あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

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