アバランチ「Helicon」がメインネットで稼働、ステーキング最短48時間・自動更新を導入

アバランチ「Helicon」がメインネットで稼働

レイヤー1ブロックチェーン「アバランチ(Avalanche)」のネットワークアップグレード「ヘリコン(Helicon)」が、9月22日(日本時間23日)にメインネットで有効化された。アバランチ公式Xアカウントから9月23日に発表された。

ヘリコンは今年7月、アバランチのFujiテストネットで先行して有効化されていた。今回のメインネットへの導入により、ネットワークの仕様変更を提案する仕組み「アバランチ・コミュニティ・プロポーザル(Avalanche Community Proposal:ACP)」による6件の提案が本番環境に反映された。

6件のうち4件はステーキング、2件はCチェーン(C-Chain)のトランザクション処理と手数料に関するものだ。

ステーキングのアップグレードについて

ステーキングに関する4件の変更では、アバランチの基幹ネットワーク「プライマリーネットワーク」を検証・運営するバリデーターのステーキング期間や報酬の仕組みなどが見直された。バリデーターは暗号資産(仮想通貨)「AVAX」をステークしてネットワークの運営に参加し、所定の条件を満たすことでステーキング報酬を受け取る。

プライマリーネットワークのバリデーターに適用される最低ステーキング期間は、2週間から48時間へ短縮された。最低ステーク量の2,000AVAXと最長1年間のステーキング期間は変更されない。公式ブログでは、企業が資金需要に合わせてステーキング期間を設定しやすくなるほか、短期間のバリデーター運用を試せるようになると説明されている。

また、ステーキングの自動更新が可能になった。従来はステーキング期間の終了後、バリデーターが新たなトランザクションへ署名して再びステーキングする必要があった。新たな仕組みでは、更新周期と報酬の再投資割合をあらかじめ設定することで、条件を満たしたバリデーターのステーキングが自動的に更新される。

なお、最低ステーキング期間の短縮と自動更新は、AVAXをバリデーターに委任するデリゲーターには適用されない。

その一方で、ヘリコン有効化後にステーキングを開始するバリデーターについては、報酬を受け取るために必要な稼働率が80%から90%へ引き上げられた。基準を下回った場合は対象期間の報酬を受け取れないが、ステーキングした元本は没収されない。ヘリコン有効化前から継続しているステーキングには、従来の80%が適用される。

ステーキング報酬の仕組みも変更された。短期間のステーキングに対する報酬率を引き下げる変更が、ヘリコンの有効化から90日間かけて段階的に進められている。一方、1年間ステーキングした場合の報酬率は変更されない。移行完了後は、報酬を再投資しながら48時間のステーキングを繰り返した場合の年間報酬率が約4.1%、1年間の場合が約6.4%と試算されている。

この報酬設計の変更は、ステーキング報酬として新たに発行されるAVAXの抑制も目的としている。公式ブログでは、現在約5.5%のAVAXの年間インフレ率が0.5~1ポイント程度低下すると予測されている。実際の発行量への影響は、バリデーターやデリゲーターが選択するステーキング期間などによって変わる。

アバランチの開発を手がけるアバラボ(Ava Labs)の最高事業責任者(CBO)を務めるジョン・ナハス(John Nahas)氏は9月23日、自身のXアカウントで、ヘリコンによるステーキングの変更について、規制対象機関にとって大きな障壁を取り除くものだとの見方を示した。

ナハス氏はその例として、資産運用会社ジャナス・ヘンダーソン(Janus Henderson)がアバランチのバリデーターになったことを挙げた。

Cチェーンのアップグレードについて

Cチェーンは、スマートコントラクトや分散型アプリ(dApps)が動作するEVM互換のブロックチェーンだ。またCチェーンは、Pチェーン(P-Chain)、Xチェーン(X-Chain)とともに、前述のプライマリーネットワークを構成する。

Cチェーンに関する変更では、「継続実行(Continuous Execution)」が導入された。これは、どのブロックを受け入れるかについてバリデーターが合意するコンセンサスと、ブロック内のトランザクションを実行する処理を分離する仕組みだ。

従来のCチェーンでは、ブロック内のトランザクションを実行した後、そのブロックをコンセンサスで承認していた。継続実行では、トランザクションを実行できることを確認したうえでブロックを承認し、その後にトランザクションを実行する。これにより、承認済みブロックの実行と後続ブロックのコンセンサスを並行して進められる。

公式ブログでは、継続実行によって通常時の決済時間そのものが短縮されるわけではないと説明されている。アバランチではすでに多くのトランザクションが1秒未満で処理されており、ネットワークが混雑した場合でも処理性能を維持しやすくすることが狙いとのことだ。

Cチェーンでは、トランザクション手数料の基準となる最低ガス価格を動的に調整する仕組みも導入された。各バリデーターが希望する最低ガス価格を設定し、ステーク量を反映したバリデーター全体の希望値へ最低ガス価格を段階的に近づける。固定された最低ガス価格では抑制しにくかった、低コストのスパムトランザクションへの対応が目的だ。

参考:アバランチ・ ギットハブ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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