リキッドネットワーク、約4000BTC流出で事実上停止。実行者が「ホワイトハット」名乗る

「SideSwap PAK」経由、根本原因は不明

ビットコイン(Bitcoin)のレイヤー2ネットワーク「リキッドネットワーク(Liquid Network)」でセキュリティインシデントが発生し、ホワイトハット(善意のハッカー)を名乗る主体により、リキッドフェデレーション(Liquid Federation)のウォレットから約4,000BTCが引き出された。リキッドネットワークが9月7日に公式Xで発表した。

引き出されたBTCは約3億2,000万ドル(約500億円)相当。ビットコインのオンチェーンデータでは、関連する2回の取引で合計約3,998.5BTCが1つのアドレスに送られている。

暗号資産メディア「ザ・ブロック(The Block)」によると、このビットコインの数量は、インシデント前に報告されていた約4,200BTCの準備金の約95%に相当するという。

その後、同アドレスからの取引の「OP_RETURN出力」には、「we are whitehats. contact us on chain(私たちはホワイトハットだ。オンチェーンで連絡してほしい)」とのメッセージが記録された。

同アドレスには本稿執筆時点で約3,998.5BTCが残っており、大半の資金の返還は確認されていない。

リキッドネットワークの技術プロバイダーであるブロックストリーム(Blockstream)は、署名付きのオンチェーンメッセージを通じて、資金を移動した主体との接触を試みている。現時点で同主体の身元や、資金が返還されるかは明らかになっていない。

リキッドネットワークでは、ビットコインのメインチェーン上でBTCをフェデレーションウォレットにロックし、同量の「リキッドビットコイン(LBTC)」を発行する。LBTCをBTCに戻すペグアウトでは、LBTCをバーン(焼却)し、事前に認可されたアドレスへBTCを払い出す仕組みになっている。

フェデレーションウォレットは、15のファンクショナリーのうち11の署名を要するマルチシグで管理されている。またPAK(Peg-out Authorization Key)は、ペグアウト先となるビットコインアドレスを認可するために利用される。

リキッドネットワークの発表によると、今回のBTCはサイドスワップ(SideSwap)のPAKを経由して引き出されたという。一方、同PAKを含む鍵の侵害はなかったとしている。資金の引き出しを可能にした根本的な原因は明らかにされていない。

今回のインシデントを受け、リキッドネットワークは暗号資産(仮想通貨)取引所へ通知した。通知を受けた取引所ではLBTCの入出金をすでに停止したか、今後停止する予定だという。

また、新たなトランザクションがネットワークへ送信されないよう、ブリッジノードも一時的に無効化された。これによりリキッドネットワークは、問題が解決するまで事実上停止した状態となっている。

リキッドネットワーク上で発行されている米ドル連動型ステーブルコイン「USDT」やブラジルレアル連動型ステーブルコイン「DePix」、RWA(現実資産)トークンは、今回のセキュリティインシデントによる直接的な影響を受けていないという。ただし、ネットワークの利用制限に伴い、リキッド対応ウォレットの機能には影響が出ている。

リキッド対応ウォレット「アクア(AQUA)」を提供するジャンスリー(JAN3)のサムソン・モウ(Samson Mow)CEOは、同ウォレットのリキッド関連機能が影響を受けている一方、ビットコインのメインチェーン上の取引は通常どおり利用できると説明している。

本稿執筆時点で、ネットワークの再開時期やインシデントの根本原因は発表されていない。リキッドフェデレーションのメンバーが通常運用の再開に向けて対応を続けている。

参考:ザ・ブロック
画像:PIXTA

関連ニュース

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

【9/4話題】ハイパーリキッドが許可型市場向け機能追加へ、SBI VCトレードがAPT・ETC・OAS、ビットポイントがBNB・JMY・DEP・OSHI・PEPE・TRUMP取扱い廃止へなど(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored

ジュピター、ソラナへのクロスチェーン入金機能「Universal Deposit」提供開始。ブリッジやスワップ自動化

ソラナ(Solana)基盤の分散型取引プラットフォーム「ジュピター(Jupiter)」が、複数のブロックチェーン上の対応トークンを送信し、ソラナ上のウォレットで米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」を受け取れる新機能「ユニバーサル・デポジット(Universal Deposit)」の提供を開始した