エセナが金融アプリ「Ethena Pay」β版を提供開始、アバランチを独占精算基盤に採用

最大6%報酬やカード決済、グローバル送金に対応

ステーブルコイン「USDe」を開発するエセナ(Ethena)が、貯蓄や送金、決済機能を備えた金融アプリ「エセナ・ペイ(Ethena Pay)」のベータ版提供開始を9月1日に発表した。エセナ・ペイはアバランチ(Avalanche)上に構築されており、同日からiOSアプリのダウンロードが可能となっている。

エセナは、エセナ・ペイを「インターネットマネーのネオバンク」と位置付けている。セルフカストディ型ウォレットと法定通貨の口座機能を一つのアプリにまとめ、従来の金融アプリに近い利用体験を提供する。

エセナは、暗号資産(仮想通貨)などを担保とし、デリバティブを組み合わせることで米ドルとの価格連動を目指すステーブルコイン「USDe」を展開するプロジェクトだ。USDeは、現金や米国債などの準備資産によって価値を裏付けるUSDTやUSDCとは異なる仕組みを採用している。

ただし、エセナ・ペイ自体は銀行ではない。ユーザーのデジタル資産はエセナ・ペイが預かるのではなく、ユーザー自身が管理するセルフカストディ型ウォレットに保管される。一方、法定通貨を扱う口座機能は、認可を受けた銀行パートナーを通じて提供される。

エセナ・ペイでは、国際送金などで銀行口座を識別するために使われるIBANと、セルフカストディ型のステーブルコイン口座を一つのアプリから利用できる。また、米ドル(USD)、英ポンド(GBP)、ユーロ(EUR)、現地通貨から暗号資産へ資金を移すオンランプにも対応する。

送金では、エセナ・ペイのユーザー間で無料かつ即時の資金移動に対応する。外部の暗号資産ウォレットへの送金や銀行口座への出金も可能だ。

貯蓄機能では、ドル建て残高に対して最大年率6%の報酬を提供する。残高にはUSDeの市場状況に応じたベースレートが適用され、これに「デイリー・ブースト(Daily Boost)」と呼ばれるプロモーション報酬を加えることで、ユーザーのティアに応じた年率を提供する仕組みだ。

スタンダード(Standard)では5,000ドルまでの残高に最大5%、プロ(Pro)では1万5,000ドルまで、VIPでは5万ドルまでの残高に最大6%の年率が設定されている。各上限を超える残高にはUSDeのベースレートのみが適用される。ただし、この報酬は銀行預金の金利ではない。エセナ・ペイはデイリー・ブーストについて、利息や利回り、預金ではなく任意で提供するプロモーション報酬と説明している。また、デジタル資産は政府の預金保険制度の対象にもならない。

決済機能では、Visa加盟店で利用できるバーチャルカード「エセナ・ペイ・スペンド・カード(Ethena Pay Spend Card)」を提供する。同カードはアップルペイ(Apple Pay)にも対応している。カード利用時には、ユーザーのティアや利用額に応じて最大5%のキャッシュバックをアバランチのネイティブ暗号資産「AVAX」で受け取れる。

同カードは、プエルトリコの銀行サード・ナショナル(Third National)がビザ(Visa)のライセンスの下で発行し、決済インフラ企業レイン(Rain)がカードプログラムを管理する。

エセナ・ペイは現在、日本を含む49カ国で利用可能だ。提供は段階的に進められ、まず400人の早期アクセスユーザーから開始する。エセナは今月中にベータ版から移行する過程で、対応地域の利用可能ユーザーを毎週増やす予定だ。

またエセナは、エセナ・ペイのプロダクト群における独占的な清算レイヤーとしてアバランチを採用する。アバランチは、エセナ・ペイにおける資金移動や支払い、その精算を支えるブロックチェーン基盤として利用される。

エセナはアバランチについて、高速なファイナリティ、低コスト、柔軟なインフラを備えていると説明している。ファイナリティとは、ブロックチェーン上の取引が確定し、覆らなくなる状態を指す。

参考:エセナ・ペイ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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