無許可の暗号資産サービス提供には最大2億ドンの罰金
ベトナム政府が、暗号資産市場における違反行為に対する行政処分を定めた政令「284/2026/NĐ-CP」を7月16日に公布した。同政令は9月1日に施行される。
今回の政令は、暗号資産市場の試行制度を定めた政府決議「05/2025/NQ-CP」に基づき、暗号資産の発行、取引、市場運営、外国投資家による取引、マネーロンダリング対策(AML)などに関する違反行為と行政罰を具体化するものだ。
政令では、無許可で暗号資産市場運営サービスを提供した法人に対し、1億8,000万~2億ドン(約110万~123万円)の罰金を科すとしている。許可取得前にサービスの広告・マーケティングを行った場合も同様の処分対象となる。
無許可でサービスを提供した場合には、違反物や違反手段の没収、違法収益の納付、違反に使用されたウェブサイトやソフトウェア、取引システム、設備などの削除が命じられる可能性がある。無許可で広告・マーケティングを行った場合は、違反情報の削除や訂正を求められる場合がある。
一つの違反行為に対する罰金の上限は法人が2億ドン(約123万円)、個人が1億ドン(約61万円)とされている。政令に記載された罰金額は原則として組織に適用され、個人が同様の違反を行った場合はその半額となる。
政令では、暗号資産の募集・発行についても詳細な処分を規定した。
発行主体が不正確、不完全、期限に遅れた、または誤解を招く情報を当局や暗号資産サービス事業者、投資家に提供した場合、1億~1億5,000万ドンの罰金に加え、募集・発行活動を3~6カ月停止される可能性がある。
規定上の対象外となる投資家への募集・発行、発行条件を満たさない状態での募集・発行、目論見書の未公表については、1億5,000万~2億ドン(約92万~123万円)の罰金に加え、募集・発行活動の6~12カ月停止、当該募集・発行の取り消し、投資家への返金を命じられる可能性がある。
目論見書で公表した内容に従わなかった場合も1億5,000万~2億ドンの罰金対象となり、募集・発行活動が3~6カ月停止される可能性がある。
投資家についても規制が設けられた。
ベトナム国内の投資家が、財務省の認可を受けた暗号資産サービス事業者を介さずに暗号資産を取引した場合は、3,000万~5,000万ドン(約18万〜30万円)の罰金対象となる。また、外国投資家向けに発行された暗号資産を国内投資家が売買した場合には、7,000万~1億ドン(約43万〜61万円)の罰金が科される。なお、共に、個人にはその半額が科される。
事業者には、本人確認(KYC)やAML/CFT対応、顧客資産の分別管理、サイバーセキュリティ対策、当局への報告義務なども課される。また、取引履歴や口座情報など所定のデータをベトナム国内のサーバーに最低10年間保存する必要がある。
顧客資産を自社資産と分別して管理しなかった場合は1億~1億5,000万ドン(約61万〜92万円)の罰金に加え、最大1~3カ月のサービス停止命令を受ける可能性がある。
また、高額取引や疑わしい取引を報告しないこと、匿名・偽名口座の開設・維持、資金凍結命令への不履行などAML関連の違反についても、内容に応じて最大2億ドンの罰金が規定された。
さらに、暗号資産口座に関するデータや情報の違法な収集、保存、交換、売買、譲渡または公開についても、1億5,000万~2億ドン(約92万~123万円)の罰金に加え、暗号資産取引活動を1~3カ月停止する処分の対象となる。
今回の政令は、暗号資産を全面的に自由化する内容ではなく、認可事業者を中心とした試行市場におけるルールと行政処分を明確化するものとなっている。
外国投資家については、暗号資産取引に伴うVND建ての入出金を行うため、ベトナム国内で外国為替業務を認められた銀行または外国銀行支店に専用口座を開設することが求められている。
ベトナムは今年1月、暗号資産取引市場運営サービスの免許申請受付を開始した。また、ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)が公表した「2025 Global Crypto Adoption Index(世界暗号資産普及指数)」では、ベトナムは世界第4位にランクインしている。
今回の政令は、ライセンス制度と行政処分を組み合わせることで、認可事業者を中心とした管理型の暗号資産市場の試行運用を進めるベトナム政府の方針を改めて示した格好だ。
参考:発表
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