共同で意見書提出
大手ノンカストディアル型ウォレット提供のファントム(Phantom Technologies)と、ハイパーリキッド(Hyperliquid)を含むオンチェーン市場に関する政策提言を行うハイパーリキッドポリシーセンター(Hyperliquid Policy Center:HPC)が、米商品先物取引委員会(CFTC)に共同で意見書を7月9日に提出した。米国の個人投資家がオンチェーンのデリバティブ市場へアクセスできるよう、規制の明確化や制度整備を求める内容となっている。なお意見書ではHPCについて、ハイパーリキッドを含むオンチェーン市場へ米国人がアクセスするための明確かつ規制された道筋の整備を目指す独立系の調査・政策提言団体と説明されている。
今回の意見書は、CFTCが6月16日に公表した(6月18日付の米連邦官報に掲載)「フィンテック企業向け金融商品・サービスのイノベーションと競争を促進するための規制特定に関する情報提供要請(RFI)」への回答として提出されたもの。同RFIは、トランプ政権による大統領令14405号に基づき、フィンテック企業と連邦政府の規制対象となる金融機関やCFTC登録事業者との提携を不当に妨げている規制の洗い出しを目的としている。
ファントムは、秘密鍵やユーザー資産を保有・管理せず、ユーザーがオンチェーンプロトコルへアクセスするためのソフトウェアを提供する非カストディアル型ウォレット事業者。同社ウォレットはハイパーリキッドとの連携機能を備えているものの、この機能は現時点で米国ユーザーには提供されていない。
一方のHPCは、米国利用者がハイパーリキッドを含むオンチェーン市場へ規制に準拠した形でアクセスできる環境整備を目指す独立系の調査・政策提言団体として活動している。
両者は意見書で、CFTCの現行規制は顧客の注文や資産を仲介業者が管理する「階層的なカストディアル市場構造」を前提としていると指摘。一方で、オンチェーン技術では利用者同士が仲介者を介さずに取引できるため、仲介者によるフロントランニング、注文の不適切な取り扱い、顧客資産の紛失・盗難といったリスクへの依存を減らせる可能性があると両者は主張している。
そのうえで、CFTCに対し以下の3点を柱とする制度整備を求めた。
オンチェーンプロトコルのソフトウェアを開発・保守すること自体は、継続的な運営権限を持たない限り、CFTCへの登録義務や、商品取引法(CEA)上の注文の勧誘、提示、受け付け、取引の執行・確認には該当しないことを明確化するよう要請した。
意見書では、ソフトウェアそのものは法人格や契約能力を持たず、顧客注文や資産を扱わないため、登録制度が想定するリスクを生じさせないと説明している。
また、指定契約市場(DCM)、デリバティブ清算機関(DCO)、先物取引業者(FCM)などの登録事業者が、オンチェーン技術を利用して注文のマッチング・執行、証拠金管理、清算・決済、デフォルト管理、顧客注文・資産の受け入れなどの規制対象業務を実施できるよう、ガイダンスを策定するよう求めた。
特に、公共ブロックチェーンが備える改ざん耐性、真正性、第三者による検証可能性は、CFTCの記録保存規則が歴史的に基礎としてきたWORM(Write Once Read Many)形式が目指す目的を満たすものだと説明し、ブロックチェーン上での記録保存を認めるよう提言している。
さらに、2026年3月にCFTC市場参加者部門(MPD)がファントムへ発出したノーアクションレターを踏まえ、CFTC登録市場や登録仲介業者へアクセスするための技術的手段を提供するだけの非カストディアル型ウォレットやフロントエンド事業者をイントロデューシング・ブローカー(IB)として登録対象としない考え方を、正式なルールとして制度化するよう求めた。
意見書では、こうした制度化により、同様のフィンテック企業がCFTC登録事業者と提携しやすくなり、共同マーケティングや収益分配といった事業モデルも一定の条件の下で展開しやすくなると主張されている。
両者は、現状の規制が維持されれば、米国利用者はオンチェーンのデリバティブ市場から引き続き排除され、関連するイノベーションは海外で進展し続けるほか、米国の登録事業者も市場インフラの近代化を進められない状況が続くと指摘した。
また両社は今回示した3つの提言について、フィンテック企業がCFTC登録事業者と提携し、オンチェーンインフラの利点を米国のデリバティブ市場へ導入するための「包括的なロードマップ」と位置付けた。ソフトウェア開発者、登録事業者、非カストディアル型フロントエンド事業者のそれぞれに明確な法的位置付けを与えることで、責任あるイノベーションと競争を米国内へ呼び戻すことにつながるとのことだ。
参考:意見書
画像:Reuters