スタークウェア、イーサL2「Starknet」のポスト量子対応ロードマップ公開

Starknetのポスト量子対応ロードマップ公開

ゼロ知識証明(ZK)技術を開発するスタークウェア(StarkWare)が、レイヤー2ブロックチェーン「スタークネット(Starknet)」のポスト量子対応ロードマップを6月30日に公開した。

同社は、量子コンピューターによる暗号解読リスクに備え、スタークネットを「Q-Day」前にエンドツーエンドでポスト量子対応させることを目指すとしている。なお、同ロードマップのうち第1・第2段階は数カ月規模でスタークウェア側で進められる一方、最終段階はイーサリアム側のポスト量子対応に依存するとのこと。

ポスト量子対応とは、量子コンピューターによる暗号解読リスクに備え、現在の暗号方式を新たな暗号技術へ移行する取り組みだ。スタークウェアは、量子コンピューターの性能向上により、現在多くのブロックチェーンで利用されている楕円曲線暗号(ECC)が将来的に解読される可能性があると説明している。

また同社は、各国政府による量子コンピューター企業への投資や、グーグル(Google)をはじめ各社が量子コンピューターの実用化に向けたロードマップを示していること、米ホワイトハウスが量子耐性に関する大統領令を公表したことなどを挙げ、量子耐性への対応は「起こるかどうか」ではなく「いつ移行するか」の段階に入っているとの認識を示した。

スタークウェアは、その中でもスタークネットは設計段階からポスト量子対応へ移行しやすい構造を備えていることが特徴だと説明している。同社によると、スタークネットで取引の正当性を証明する「STARK」は、量子コンピューターでも解読が困難とされるハッシュベース暗号を採用しており、その証明システムは設計上ポスト量子耐性を備えているという。

また、スタークネットはアカウント抽象化(Account Abstraction)を標準機能として備えている。これにより、ウォレットの認証方式を柔軟に変更できるため、既存ウォレットからポスト量子対応ウォレットへの移行も、プロトコル変更を伴わず実現できるとしている。

スタークウェアは、こうした構造的な優位性を生かし、ポスト量子対応を3段階で進めるロードマップを公開した。

第1段階では、スタークウェアがネットワーク設定ハッシュやコントラクトアドレス生成、ステートコミットメントで利用している暗号アルゴリズム「ペダーセンハッシュ(Pedersen Hash)」を、「ブレイク2(BLAKE2)」へ置き換える。また、Falcon-512などのポスト量子対応署名をコンセンサス署名に導入する方針も示されている。新たに展開されるスマートコントラクトについては、標準でポスト量子対応となることを目指す。この段階は開始から約2カ月で完了する見込みとしている。

第2段階では、スタークウェアが既存のスマートコントラクト向けに移行ツールを提供する。開発者が大規模な改修やデータ移行を行うことなく、既存コントラクトをポスト量子対応へ移行できる仕組みを整備するという。同社は、第1段階完了後約1カ月での実装を見込んでいる。

第3段階では、スタークウェアがイーサリアム(Ethereum)に依存する部分への対応を進める。レイヤー1とのブリッジ機能やデータ可用性など、スタークネット単独では変更できない部分については、イーサリアム側のポスト量子対応に合わせて移行を進めるとしている。具体的には、イーサリアムとのブリッジに関わるsyscallや、EIP-4844のblobを用いたデータ可用性などが対象となる。

スタークウェアの共同創業者兼CEOであるイーライ・ベン=サッソン(Eli Ben-Sasson)氏は、「このロードマップは、量子コンピューターがもたらす将来の脅威に対しても、スタークネットを安全な資産保管場所とするための道筋を示すものだ」と説明している。また同氏は、適切な暗号技術を採用すれば、他のブロックチェーンでも同様にポスト量子対応を進められるとの考えを示した。

参考:スタークウェア
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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