ECB、トークン化金融エコシステム構築へ。「Appia」ロードマップ公開

2028年に設計図を公開へ

欧州中央銀行(ECB)が、欧州のトークン化金融エコシステムの構築に向けたロードマップ「アッピア(Appia)」を3月11日に発表した。

このロードマップでの取り組みの目的は、トークン化されたホールセール金融市場の発展を促しつつ、中央銀行マネーを金融システムのアンカー(基盤)として維持させることだ。

アッピアは、ユーロ圏の中央銀行ネットワークであるユーロシステムが主導する戦略的イニシアチブで、トークン化と分散型台帳技術(DLT)を活用した金融市場インフラの設計やガバナンス、標準化などを検討する長期プロジェクト。同プロジェクトによりECBは、2028年までに、欧州のトークン化金融エコシステムに関する設計図を公表する予定だ。

ECBのエグゼクティブボードメンバーであるピエロ・チポローネ(Piero Cipollone)氏は声明で「アッピアは、現在の金融システムから将来のトークン化市場へと続く『ロード』を構築するものだ。その基盤には中央銀行マネーがある」と述べた。

トークン化は、債券や証券などの金融資産をデジタルトークンとして発行・管理する仕組みで、主にDLTネットワーク上で記録される。ホールセール金融市場では、発行、取引、決済、カストディ、サービスなど資産のライフサイクルを単一のプラットフォーム上で処理できる可能性があり、効率性の向上やスマートコントラクトによる新たな金融サービスの実現が期待されている。

今回の戦略は、DLTベースの中央銀行マネー決済レイヤーを提供する「ポンテス(Pontes)」と、より長期的な金融エコシステムの設計を担う「アッピア」の2つの取り組みで構成される。ポンテスは2026年第3四半期のローンチが予定されており、DLT上で行われる取引の中央銀行マネー決済を可能にするインフラとして位置付けられている。

またECBは、この取り組みを通じて欧州の金融インフラの統合や競争力強化を目指すとしている。欧州では近年、ドル中心の金融システムや域外決済ネットワークへの依存が地政学的リスクになり得るとの議論が強まっており、トークン化金融インフラの整備は欧州の戦略的自律性や金融主権の強化にもつながるとみられている。

ECBは今後、金融機関や市場参加者、公共機関、学術機関などと連携しながらアッピアの検討を進めていく方針で、ロードマップに対するフィードバックや参加表明も受け付けるとしている。

ECBは2025年7月、中央銀行マネーによるDLT決済実現に向けた二本柱の戦略として「ポンテス」と「アッピア」を進める方針を発表していた。両プロジェクトは、2024年に64の金融機関などが参加したDLT実証実験を基盤としている。

参考:発表
画像:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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