「透明性と法令遵守への取り組みが反映された結果」
プライバシー特化型ブロックチェーン「Zcash(ジーキャッシュ)」を支援する非営利団体「Zcash財団(Zcash Foundation)」は、米証券取引委員会(SEC)による調査が是正措置や執行勧告なしで終了したと1月14日発表した。
同財団によるとSECは2023年8月31日、「In the Matter of Certain Crypto Asset Offerings(SF-04569)」と題した調査に関連し、財団に対して召喚状を発付。約2年以上にわたる調査の結果、SECは執行措置や運営上の変更を勧告しない方針を通知したという。財団はこの判断について、「透明性と法令遵守への取り組みが反映された結果」だと説明している。
Zcash財団は、2016年にローンチしたZcashプロトコルの開発を支援している。同プロトコルは、zk-SNARKsと呼ばれるゼロ知識証明技術を用いて、シールド取引を実現している。Zcashのプライバシー機能は、その性質上、規制当局の関心を集めてきた経緯があるが、今回の決定は同財団に限定した判断であり、プライバシー系暗号資産全体に対する包括的な規制判断を示すものではない。
Zcash財団は今後も、公益のためのプライバシー保護型金融インフラの推進に注力していくとしている。
なおコインマーケットキャップによれば、この発表を受け、過去24時間でZECの取引高は約30%上昇した。記事執筆時点(2026年1月15日16:40)でのZECの価格は436.63ドル(約6万9,224円)だ。
一方でZcashエコシステムでは、別の重大な動きも起きている。1月7日にはZcashの主要開発企業であるエレクトリック・コイン・カンパニー(Electric Coin Company:ECC)の全スタッフが退職したことが明らかになった。ECCの元CEOであるジョシュ・スウィハート(Josh Swihart)氏によると、ECCを統括しZcashエコシステムを支援する非営利団体ブートストラップ(Bootstrap)理事会との間でガバナンスを巡る対立が発生し、結果としてECCの全チームが「建設的解雇(constructive discharge)」の状態に置かれたという。同氏は、雇用条件の変更により「職務を誠実に遂行することが不可能になった」と説明した。
その後ECCチームは、新会社を設立し、Zcashの理念と開発を継続する方針を示している。スウィハート氏は新たなZcash関連スタートアップ「cashZ」を立ち上げ、既存ウォレット「Zashi」と競合するZECウォレットの開発を進める方針だ。cashZは数週間以内のローンチを予定している。
Zcashのようなプライバシー機能を備えた暗号資産は、取引の秘匿性が高いことから、マネーロンダリングなどへの悪用を懸念する声もあり、各国規制当局から継続的に注視されてきた。実際、プライバシーコインを巡っては、一部の国や取引所で上場廃止などの対応が取られる例もある。一方で支持者は、こうした技術を、個人の取引履歴や資産状況を保護する金融プライバシーを実現する手段として評価している。
We are pleased to announce that the SEC has concluded its review and informed us that it does not intend to recommend any enforcement action or other changes against Zcash Foundation regarding this matter. https://t.co/zjxfh3mmst
— Zcash Foundation 🛡️ (@ZcashFoundation) January 14, 2026
参考:発表
画像:PIXTA