Zcash(ZEC)開発元ECCの全スタッフが退職。ガバナンス対立で元CEOは新会社設立へ

「悪意あるガバナンス行動から、チームの仕事を守る」

プライバシー特化型ブロックチェーンのジーキャッシュ(Zcash)の開発元であるエレクトリック・コイン・カンパニー(Electric Coin Company:ECC)の全スタッフが退職した。ECCのCEOであるジョシュ・スウィハート(Josh Swihart)氏が1月7日にXで発表した。

発表によれば、ECCを統括しZcashエコシステムを支援する非営利団体ブーストラップ(Bootstrap)理事会との間でガバナンスを巡る対立が生じ、結果としてECCの全チームが建設的解雇(constructive discharge)を受けたという。ちなみに米国労働省のHPによれば、建設的解雇とは、一般的に雇用主による重大な労働条件の変更や職場環境の悪化により、従業員が事実上退職を強いられたと認められる状況を指す。成立要件は州法により異なるとのことだ。

同氏は、ブーストラップ理事会の大半を占めるザキ・マニア(Zaki Manian)氏、クリスティーナ・ガーマン(Christina Garman)氏、アラン・フェアレス(Alan Fairless)氏、ミシェル・ライ(Michelle Lai:ZCAM)氏らが、Zcashのミッションと明確に乖離した判断を行ったと主張している。

スウィハート氏は投稿の中で、「雇用条件が変更され、職務を効果的かつ誠実に遂行することが不可能になった」と説明。その結果、ECCの全スタッフが退職に至ったとしている。なお、Zcashのプロトコル自体は今回の人事・組織変更の影響を受けていないと強調している。

またスィハート氏はこの決断を、「ECCの本来の使命を果たすことを不可能にした悪意あるガバナンス行動から、チームの仕事を守るためのもの」だとしている。

退職したECCチームは、新たな企業を設立し、これまでと同じメンバーでZcashのミッションを継続するとしている。スウィハート氏は1月9日のXの投稿にて、「非営利組織はスケールしにくいが、スタートアップはスケールできる」と述べ、新会社を通じてZcashを数十億人規模へと拡大する考えを示し、新たなZcash関連スタートアップとして「cashZ」の立ち上げを発表している。

このスタートアップは、ジーキャッシュの主力ウォレット「Zashi」と競合する新たなZECウォレット「cashZ」を開発すると見られている。

現在はウェイトリスト登録を受け付けており、数週間後のサービス開始を予定している。ローンチ後については、「現在のZashiと同じくらい簡単な移行体験になるよう万全を期す」としており、既存ユーザーの円滑な移行を重視する姿勢を示している。

cashZの公式HPにて、スウィハート氏は、Zcashを「止められないプライベートマネー」と位置付け、思想と実装、組織の整合性を保ったままスケールさせる必要性を訴えた。新会社設立は、サイファーパンクとしての原点を維持しつつ、数十億人規模への普及を目指すための判断だとしている。

また米暗号資産(仮想通貨)メディア「ザ・ブロック(The Block)」の報道によると、今回の大量退職は、Zcashエコシステムで近年相次いでいる主要人物の離脱に続くものだという。スウィハート氏自身も、2023年12月に長年プロジェクトを率いてきたズーコ・ウィルコックス(Zooko Wilcox)氏の後任としてCEOに就任した経緯があるほか、2025年1月にはピーター・ヴァン・ヴァルケンバーグ(Peter Van Valkenburgh)氏がジーキャッシュ財団(Zcash Foundation)の理事を退任している。

またECCは、2025年12月1日に内部組織再編を発表しており、コアプロトコルとモバイル開発チームの統合や、マーケティング・コミュニケーション部門の一本化を進めていた。

Zcash(ZEC)は2025年11月に一時時価総額100億ドルを超えた。今回のコア開発チーム辞任の発表を受けてかZECの価格は過去24時間で5.29%下落。記事執筆時点(2026年1月9日15:30)の価格は439.76ドル(約6万9,218円)だ。

参考:cashZ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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