APACの暗号資産市場が過去3年で急成長。日本は前年比120%の成長を記録=チェイナリシスレポート

チェイナリシスがAPAC市場分析レポートを発表

米ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)が、アジア太平洋(APAC)地域の主要暗号資産(仮想通貨)市場に関するレポートを9月24日に公開した。

レポートによると、2022年7月から2025年6月にかけてAPACでは暗号資産活動が著しく拡大し、同地域は世界市場における成長の主要な牽引役になっているという。

チェイナリシスによれば、APACの月間オンチェーン受取額は2022年7月の約810億ドルから2024年12月には2,440億ドルに達し、約30か月で3倍に増加したとのこと。

この結果、APACは世界で最も暗号資産市場が急成長している地域として台頭し、オンチェーン受取額では欧州に次ぐ第2位を占めることが多く、月間総額では北米を上回る場面もあった。チェイナリシスはこの動向を、APACの世界市場での影響力拡大と2025年後半に向けた成長の持続を示すものだと評価している。

日本が最も強い成長示す

APACトップ5市場のうち、日本は最も高い成長率を記録した。オンチェーン受入額は2025年6月までの12か月間で前年同期比120%増加し、インドネシア(103%)、韓国(100%)、インド(99%)、ベトナム(55%)を上回った。

日本市場はこれまで近隣諸国と比べ低調とされていたが、暗号資産投資を考慮した規制改革、暗号資産課税制度の見直し、初の円建てステーブルコイン発行者の認可など、政策面の進展が後押ししたとみられる。

また、2025年6月までの12か月間、日本円を用いた暗号資産購入ではXRPが217億ドルで首位を占め、次いでBTC(96億ドル)、ETH(40億ドル)が続いた。特にXRPの優位性は注目されており、リップルとSBIホールディングスの戦略的提携を背景に、投資家がXRPの実用性に賭けている可能性があるという。今後はUSDCやJPYCといったステーブルコインの普及動向からも目が離せない。

チェイナリシスは、インドの送金主導型の優位性、韓国の投機的洗練性、日本のXRP主導の成長、小規模市場での制度改革や実験的取り組みなど、各国の多様な採用モデルがAPACを世界の暗号資産採用をリードする指標に押し上げていると指摘。

チェイナリシスは、この地域の多様性こそが暗号資産の適応力を示すものであり、今後数年間のグローバルな利用進化を先導するだろうと結論づけている。

参考:チェイナリシス レポート
画像:PIXTA

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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