金融業界向けブロックチェーン「カントン」、チェーンリンクのCCIP導入

Canton NetworkにCCIP導入

金融業界向け分散型ネットワーク「カントンネットワーク(Canton Network)」が、分散型オラクルネットワーク「チェーンリンク(Chainlink)」との戦略的提携を9月24日に発表した。

カントンネットワークは、2023年5月に立ち上げられた金融機関のプライバシー要件に最適化されたレイヤー1ブロックチェーン。カントンネットワーク全体の相互運用レイヤー「グローバルシンクロナイザー」は、2024年6月にメインネットで稼働開始した。同チェーン上のアプリケーション開発者は、各アプリケーションごとに、「パブリックな要素を持った許可制のチェーン」を構築できる。これらは、スマートコントラクトを用いたプライバシー設定が可能なため、取引の詳細は関係者のみに限定して公開され、それ以外には完全に非公開になるという。

今回の提携により、チェーンリンクのクロスチェーン相互運用プロトコル「CCIP(Cross-Chain Interoperability Protocol)」の導入が、カントンネットワーク上で進められているとのこと。

さらに、チェーンリンクのデータサービス「チェーンリンクデータストリームズ(Chainlink Data Streams)」、準備金証明(プルーフオブリザーブ)とNAVリンク(純資産価値の追跡)を含むデータソリューション「スマートデータ(SmartData)」もカントンネットワーク上で導入が進められているという。

また、カントンネットワークはチェーンリンクスケールプログラム(Chainlink SCALE Program)に参加しており、チェーンリンクのオラクルノードが提供する各種データやサービスの運用コストの一部を負担しているとのこと。

同プログラムは、参加するブロックチェーンやレイヤー2ネットワークがそのチェーン上の開発者が負担するはずであったチェーンリンクの利用料を一定期間肩代わりすることで、開発者を自身のエコシステムに誘致する取り組みだ。

開発者は、この一定期間内にサービスを構築しユーザーを集めることで、この期間の終了後もプロトコルの手数料収入でチェーンリンクの使用料をまかなえるようにし、自立的に運営できることを目指す。

さらにチェーンリンク開発のチェーンリンクラボ(Chainlink Labs)は、通常のバリデータ機能とカントンシンクロナイザーノード(取引・データの同期を担う)を兼ね備えたスーパーバリデータとしてカントンネットワークに参加し、グローバルシンクロナイザーの運用にも貢献している。

なおチェーンリンクラボは6月5日、グローバルシンクロナイザーを監督するガバナンス機関「カントン財団(Canton Foundation):旧 グローバルシンクロナイザー財団(Global Synchronizer Foundation)」に参加した。

これによりチェーンリンクラボは、カントンネットワークエコシステム全体の技術基盤や標準づくりに貢献するという。また、カントンネットワークにおけるプライバシー、セキュリティ、相互運用性を重視した金融インフラの発展を支えていくとのことだ。

CCIPとは

CCIPは、パブリックブロックチェーンとプライベートブロックチェーンの両方にわたってアプリケーションをリンクするように設計されたクロスチェーン相互運用プロトコル。

開発者は、任意メッセージングを使用してCCIP上に独自のクロスチェーンソリューションを構築できるだけでなく、CCIPは簡素化されたトークン転送も提供するという。これにより、プロトコルは制御する監査済みのトークンプールコントラクトを使用して、独自コードを記述することなくチェーン間でトークンの転送を迅速に開始できるとのこと。

このプロトコルにより、独自のブリッジソリューションを構築することなく、単一のインターフェイスからブロックチェーン間でトークン転送ができる他、ユーザーが1つのブロックチェーンに担保を預け、別のブロックチェーンで資産を借りられるようにするクロスチェーン融資アプリケーションの起動も可能になるとのことだ。

参考:カントンネットワーク
画像:iStocks/mouu007

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この記事の著者・インタビューイ

一本寿和

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
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