イーサリアム共同創設者ヴィタリック、L2「Base」の分散性を擁護

ヴィタリック・ブテリンがBaseの分散性を擁護

コインベース(Coinbase)開発のレイヤー2ネットワーク「ベース(Base)」について、「中央集権的な管理者としてではなく、適切に設計されたL2である」と擁護する発言をイーサリアム(Ethereum)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が9月23日に行った。

ブテリン氏はXにて、「ベースは正しい方法で構築されている」と述べ、同ネットワークがユーザーの資金を託管せず、盗取や出金停止を行うことはできないと強調した。

この発言は、ベースのシーケンサーがL2を証券取引所のように機能させているとの批判に対するコインベースの幹部らの反論を受けたものだ。コインベースのCLO(最高法務責任者)ポール・グレワル(Paul Grewal)氏は、L2は汎用ブロックチェーンインフラとして機能し、証券取引委員会(SEC)が定義する「証券の売買当事者を結び付ける市場」とは異なると主張していた。

ベースが、イーサリアムのL1上のスマートコントラクトロジックによって実装された具体的な経路を通じて、L2運営者が資金の盗取やブロックできない仕組みを持っているとブテリン氏は説明した。また同氏は「L2が非託管的であるとはこういうことで、L2はイーサリアムの拡張であり、ハッシュを送信するだけの美化されたサーバーではない」と述べている。

コインベースのベース責任者ジェシー・ポラック(Jesse Pollak)氏も、L2のシーケンサーを取引マッチングエンジンではなく中立的な「交通管制官」として位置づけて擁護した。ポラック氏は、ユーザーがいつでもイーサリアム経由でベースと直接取引できると説明し、この設計がベースの取引をイーサリアムのバリデーターセットに固定し、分散化と検閲耐性を提供すると主張した。

なおベースは今年4月、ブテリン氏のロールアップ分散化モデルで定義されるステージ1に進歩し、独立メンバーを必要とするセキュリティ評議会を導入してコインベースの一方的な制御を削減している。またブテリン氏は、ベースのステージ2への道筋は既に定められており、需要の拡大に伴って達成可能であると述べている。

しかし、一部の専門家からは懐疑的な声も上がっている。タップルートウィザーズ(Taproot Wizards)共同創設者エリック・ウォール(Eric Wall)氏は、ベースのコントラクトがガバナンスを通じてアップグレード可能であり、資金のセキュリティに関してはまだ託管的システムであると指摘した。また元イーサリアム開発者レーン・レティグ(Lane Rettig)氏は、政府がコインベースに圧力をかけるような強制リスクも依然として存在すると付け加えている。

ブテリン氏は同日、「低リスクDeFi(分散型金融)」がイーサリアムエコシステムにとって重要な役割を果たすとの見解を自身のブログで示した。

同氏は、低リスクDeFiがグーグル(Google)にとっての検索エンジンと同様の経済的基盤となり得ると論じ、決済や貯蓄といった基本的な金融機能を通じてイーサリアムの持続可能な成長を支えると述べた。

また、低リスクDeFiがETHを担保資産として大量に使用し、高額な取引手数料を生み出すことでイーサリアムに経済的に貢献すると同氏は指摘した。

さらに同氏は、この分野が将来的には評判ベースの無担保融資や予測市場を活用したヘッジ戦略、米ドル以外の安定した価値形態への発展可能性も秘めているとの見解を示している。

参考:ブログ
画像:あたらしい経済(大津賀新也)

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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