中国当局、「ワールド(WLD)」型の生体情報収集活動に警告

虹彩データ収集は国家安全保障上の脅威

中国の国家安全部が、暗号資産(仮想通貨)プロジェクト「ワールド(World)※旧Worldcoin」型のデータ収集が国家安全保障上の脅威となりうると8月6日に警告を発した。

国家安全部は、公式WeChatアカウントに掲載した声明においてプロジェクト名は明言しなかったが、外国企業が暗号資産トークンの配布を誘因として、世界中でユーザーの虹彩データを組織的にスキャン・収集しているとし、これらのデータが国外へ転送されることで「個人のプライバシーと国家の安全保障の両方を脅かす」と警鐘を鳴らした。

また、顔認証や指紋認証といった生体情報をめぐる犯罪事例も挙げられ、「最小必要」原則に基づき、バイオメトリクスデータの提供には慎重な判断が必要であると注意を呼びかけた。

疑わしい生体情報の収集装置や違法な情報収集行為を発見した場合は、国家安全機関への通報が推奨されている。

ワールドは、AIチャットボットサービス「ChatGPT」を提供するOpenAI(オープンエーアイ)の共同創業者サム・アルトマン(Sam Altman)氏らによる暗号資産プロジェクトだ。

ワールドは、球体型のデバイス「オーブ(Orb)」により個人の虹彩をスキャンすることでデジタルID「World ID」を発行し、無料で暗号資産(WLDトークン)を提供する仕組みを採用している。公式ウェブサイトによれば、これまでに160カ国以上で約1500万人超が登録を行っている。

しかし同プロジェクトは、個人データの収集・保管・利用に関して各国で批判を受けており、特に欧州の複数の規制当局が、データベースの悪用リスクを懸念して調査を進めている。

参考:発表
画像:iStock/Smederevac

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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