米大手銀行PNCがコインベースと提携、顧客向け暗号資産取引サービス提供へ

PNCがコインベースと提携

米大手銀行PNCバンク(PNC Bank)が、米大手暗号資産(仮想通貨)取引所 コインベース(Coinbase) と協力し、同行顧客向けに暗号資産取引サービスを提供する計画だと7月22日に発表した。これは、暗号資産が主流金融とさらに結び付く流れを示す動きである。

ピッツバーグを拠点とするPNCバンクは、コインベースの機関投資家向け「Crypto‑as‑a‑Service」基盤を活用し、顧客が暗号資産を購入・保有・売却できるサービスを開発する。またPNCバンクは、コインベースに対して特定の銀行サービスも提供する予定だ。

今回の提携は、過去に暗号資産企業から「敵対的」と指摘された銀行業界にとって、鮮明な方向転換を示す。

今年初め、米議会は銀行と規制当局を対象に、公平なサービス提供の有無を検証する公聴会を開催した。共和・民主両党は、銀行が一部顧客に不当にサービスを拒否している可能性を認めたが、その原因については意見が分かれた。

銀行業界はイデオロギーによるサービス拒否を否定し、むしろ過重で不透明な規制が提供を難しくしていると主張してきた。

また今回の提携発表は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領とその政権が暗号資産を受容し、業界寄りの政策を進めるなかで行われた。

トランプ大統領は 2025年7月18日、ステーブルコインの規制枠組みを創設する法律に署名。長年その制定を求めてきた業界にとって大きな節目となった。

現在はバンク・オブ・アメリカ(Bank of America) や シティバンク(Citibank) など複数の銀行が、自社ステーブルコインの発行を検討している。

PNCバンクの最高経営責任者(CEO)ウィリアム・デムチャック(William Demchak)氏は、「コインベースとの提携により、当行は革新的な暗号資産金融ソリューションを顧客へ迅速に届けられる。この協力関係により、PNCの信頼あるプラットフォーム上で、安全かつシームレスにデジタル資産へアクセスしたいという高まる需要に応えられる」とコメントした。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
PNC taps Coinbase to create crypto trading offering for bank customers
(Reporting by Hannah Lang in New York; Editing by Mark Porter)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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