セルシウス創業者マシンスキー、証券詐欺で懲役12年の実刑判決

セルシウス創業者が懲役12年の判決受ける

2022年に経営破綻した暗号資産(仮想通貨)貸付企業セルシウス・ネットワーク(Celsius Network)の創業者で元CEOのアレックス・マシンスキー(Alex Mashinsky)氏が、昨年12月に証券詐欺および商品詐欺の罪で有罪を認めた後、懲役12年の判決が5月8日に言い渡された。

なおこの判決は、米ニューヨーク州マンハッタンの連邦地裁にて、ジョン・コルトル(John Koeltl)連邦判事により下されたもの。2022年の暗号資産市場の崩壊を受けた刑事事件の中でも最長の量刑である。

FTXを率いたサム・バンクマン=フリード(Sam Bankman-Fried)氏は、詐欺罪で有罪判決を受け、懲役25年の刑に服している。現在、同氏はこの判決を控訴している。

連邦検察によれば、59歳のマシンスキー氏は、セルシウスの安全性について顧客に誤解を与え、同社の独自トークン「Cel」の価値を人為的に吊り上げたという。

検察側は、同氏に対し少なくとも懲役20年の量刑を求めた。これは「数千人の被害者を生み、数十億ドル規模の損失を招く一方で、4,800万ドル(約693億円)以上の個人的利益を得た」ことに対する「正当な罰」であると主張されている。

「トークン化やデジタル資産の活用には確かな意義があるが、それは人を欺く免罪符ではない」と、米マンハッタンのジェイ・クレイトン(Jay Clayton)連邦検事は声明で述べた。

一方、マシンスキー氏側は禁錮1年1日を求め、「家族や元セルシウス顧客に対し、償いを果たしたいという思いがある」と述べていた。今回の判決には、3年間の保護観察付き釈放と、4,840万ドル(約698億円)の資産没収が含まれている。

マシンスキー氏の弁護士は、コメントに応じなかった。

2017年に設立されたセルシウスは、米ニュージャージー州ホーボーケンを本拠とし、2022年7月に連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請して経営破綻した。これは暗号資産価格の下落を受けて顧客の預金引き出しが殺到したことによるものである。

ウクライナ出身のマシンスキー氏は、家族とともにイスラエルへ移住し、1988年にニューヨークを訪れたのをきっかけに同地へ移住した。

セルシウスは、機関投資家にトークンを貸付する一方で、預金者に容易な融資アクセスと高金利を約束し、その差益を得ようとしていた。

セルシウスは一部の預金に対し年利17%を提示していたが、破産保護を申請した時点で11億9,000万ドル(約1,715億円)のバランスシート上の赤字を抱えていた。

マシンスキー氏はさらに、米証券取引委員会(SEC)、米商品先物取引委員会(CFTC)、米連邦取引委員会(FTC)、およびニューヨーク州司法長官レティシア・ジェームズ(Letitia James)氏からも民事訴訟を起こされている。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Celsius founder Alex Mashinsky gets 12 years prison for crypto fraud
(Reporting by Jonathan Stempel in New York; Editing by Daniel Wallis)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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