カルビー、IP管理プラットフォーム「かるれっと」の実証実験を開始、「Hyperledger Indy」活用で

カルビーがブロックチェーン活用しIP管理

カルビーが、同社初のブロックチェーン技術活用のIP(知的財産)管理プラットフォーム「かるれっと」を開発したことを4月17日に発表した。なお同日よりカルビーの新規事業を担う「Calbee Future Labo(カルビーフューチャーラボ)」は同プラットフォームを用いたIP事業の実証実験を開始したとのこと。

同プラットフォームでは、登録したクリエイターが制作したデザインをライセンス展開でき、迅速かつ容易にカルビー及びライセンシーとの契約が可能になるとのことだ。

発表によると「かるれっと」は、分散型ID(DID・Decentralized Identifier)とブロックチェーン技術を基盤とし、二次創作における知的財産権の発行・所有・移転・利用履歴を検証可能なデジタル証明書(VC・Verifiable Credentials)として安全かつ改ざん不可能な形式で記録・共有できる実用的なIP管理プラットフォームだという。

同プラットフォームでは、JPKI(公的個人認証サービス)を用いた認証情報をDIDと連携させることで、信頼性の高い権利証明と管理を可能にしたとのこと。これにより同社は、W3C準拠のスキーマ設計により他社システムやスマートコントラクトとの相互運用を実現し、事業部門・法務・知財などを横断する次世代インフラとして、企業間・国境を超えた知財活用をサポートするとのこと。そして、二次創作における外部クリエイターの与信管理やライセンス業務を簡素化し、IP事業の課題解決を目指すとのことだ。

なお「かるれっと」の分散型IDおよび検証可能なデジタル証明書は、シンガポール拠点のデータゲートウェイ(DataGateway)社との連携により実現したという。データゲートウェイ社が有する自己主権型ID(SSI)技術や高レベルのプライバシー保護を達成するゼロ知識証明(ZKP)の活用により、IP事業における多様な課題に対して効果的な解決策を提供すると説明されている。

「かるれっと」の取り組み第一弾として、昨年10月に実施された「じゃがりこドリーム2nd 『じゃがりこ細いやつ』グッズデザインコンテスト」で入賞したクリエイター8名と、「かるれっと」を通して契約を結び、入賞作品デザインを使用した商品の企画を提案する実証実験を開始したとのこと。

「かるれっと」では今後、カルビー商品の食べ音を使った音楽レーベルの立ち上げやクリエイターコンテストなどを行っていく予定とのことだ。

これまで「Calbee Future Labo」は、同社のIPを活用し、ブロックチェーンゲーム「アスターファーム(Astar Farm)」や、日本発のNFTコレクション「VeryLongAnimals(通称:ベリロン)」とのコラボレーションによるNFTを手掛けてきた。

カルビーによるとこれらの取り組みの結果、同社のライセンス商品は1年間で約80%増え、食べるシーン以外でも消費者にカルビー商品を楽しんでもらう機会が広がったと述べている。

なお「あたらしい経済」編集部はカルビーに対し、「かるれっと」にて採用したブロックチェーンについて質問している。回答が得られ次第、この記事に追記する予定だ。

※以下2025.4.17 13:22追記

「あたらしい経済」編集部がカルビーに「かるれっと」にて採用したブロックチェーンについて取材したところ、「今回の取り組みにつきましては、その特性上コンソーシアム型を採用しており、Hyperledger Indyにて実装をしております」との回答を得た。

参考:カルビー
画像:iStocks/wvihrev・olegback

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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