米SEC、暗号資産企業への「ATS登録」義務付けの方針撤回へ、委員長代理が発言

SECが暗号資産企業に「ATS登録」を義務付ける方針撤回へ

米証券取引委員会(SEC)の委員長代理が、一部の暗号資産(仮想通貨)企業を「代替取引システム(Alternative Trading System、ATS)の定義に含める計画」を撤回する方法を検討するよう職員に指示したことを3月10日に明らかにした。

「ATS」は、証券取引所ではないものの、証券の売買を仲介する電子取引プラットフォームのこと。米国において「ATS」は従来の証券取引所よりも規制が緩いが、証券取引法の適用を受け、SECへの登録が義務付けられている。

SECは2022年、一部の暗号資産企業に対し、「ATS」として登録を義務付ける提案を行った。しかし、これにより監督強化や追加規制が課される可能性があるとして、業界から批判を受けていた。委員長代理のマーク・ウエダ(Mark Uyeda)氏は、銀行関係者を前にした講演で、この計画の未確定部分を撤回する方法を検討するよう職員に指示したと述べた。

ウエダ氏は同計画について、そもそもは米国債市場の取引を対象とした規制強化の取り組みの一環であったと指摘した。

「私の見解では、SECが国債市場の規制と暗号資産市場への過度な介入を結びつけたことは誤りであった」と、ウエダ氏は事前に準備された発言の中で述べた。

またウエダ氏は、財務省、連邦準備制度(FRB)、市場関係者と再協議を行い、国債代替取引システムに関する本来の規制変更計画を検討するよう、SECの職員に対して求めたとも述べた。

2022年の提案は、民主党政権下のSECが投資家保護の強化を目的に、暗号資産業界に対して一連の規則や要件を適用しようとする取り組みの一環であった。

しかし現在の共和党政権下でSECは、2024年1月に暗号資産政策を見直すための暗号資産タスクフォースを立ち上げ、暗号資産企業に対する係争中の訴訟の一部を保留または取り下げる動きを見せている。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
US SEC to move away from requiring crypto firms to register as trading systems, chief says
(Reporting by Chris Prentice in Washington; Editing by Matthew Lewis)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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