ZKXが事前告知なしにサービス終了、マーケットメーカー「Amber Group」が批判

ZKXがサービス終了、「Amber Group」が批判

分散型パーペチュアル取引所「ZKX」が、投資家やマーケットメーカーへの事前告知をせずにサービス終了を発表したことから、「アンバーグループ(Amber Group)」をはじめとしたマーケットメーカーらから批判を集めている。

「ZKX」は、イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2ネットワークである「スタークネット(Starknet)」上に展開している分散型金融(DeFi)サービスだ。2021年に開発がスタートして以来、トークンのローンチもあり、多くの投資家やマーケットメーカーが参加していた。

同サービスの創業者であるエデュアルド(Eduard)氏は、「ZKX」のサービス終了を自身のXアカウントより7月30日に発表。その投稿によるとアプリケーション上のユーザーのポジションは全て決済されており、資金はユーザーの口座に返還されているという。なお同資金は、自身のセルフカストディアルアカウントに移動でき、「スタークネット」上のブリッジプロトコル「スタークウェイ(Starkway)」を介してレイヤー1に出金可能とのことだ。

サービス終了の原因として同氏は、トークン発行時に行ったTGE(トークン生成イベント)をあげている。ユーザーが少ない中トークンが売却されることでトークン価格が下落し、さらにユーザー数が減ることでトークン価格が維持できなくなったことで赤字に陥り、サービス運営の資金が賄えなくなったと説明している。

また同氏は、同サービスをクロスチェーンに拡張することも検討したという。しかし「ZKX」は「スタークネット」上のサービスであるため、拡張するためには多くの部分を開発し直す必要があったため、クロスチェーン拡張を断念せざるを得なかったと説明されている。

この発表を受け、TGE後から「ZKX」のマーケットメーカーに参加している「アンバーグループ(Amber Group)」が、批判意見を公式Xアカウントで8月4日に投稿した。

「アンバーグループ」によると、同社はマーケットメーカーとしてTGE時に「ZKX」と契約し、200万ZKXトークンの借り入れを行いマーケットメイクを行ってきたという。そして6月24日には、流動性を減らしコミュニティの信頼を高めたいという「ZKX」からの要求があり、「アンバーグループ」は借り入れた半分の量である100万トークンを「ZKX」へ返却したという。

「アンバーグループ」はマーケットメイクのためには自己資金の投下をいとわないという信条の元、残りの100万トークンに加え市場から200万トークンの買い支えを行っていたとのことだ。

しかしサービス終了の決定まで「アンバーグループ」への報告がなく、発表があった7月30日まで連絡がなかったという。これに対して同社は「ZKX チームが必要な行動と説明責任を果たして透明性を高め、建設的な状況に対処することを願っています」と語っている。

なお「ZKX」チームは8月1日以降発信を行っておらず、「アンバーグループ」の投稿後も発信は行われていない。

関連ニュース

images:iStocks/scyther5・Peshkova

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

合わせて読みたい記事

パクソス、「Arbitrum One」でステーブルコイン発行へ。イーサL2は初

ステーブルコイン発行会社パクソス(Paxos)が、イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2スケーリングソリューション「アービトラムワン(Arbitrum One)」上で、ステーブルコインを発行予定であることを9月10日発表した。パクソスによる「アービトラムワン」対応は初のレイヤー2チェーン展開となる

【9/13話題】DCJPYのディーカレットが63.49億円調達、Swiftがトークン化された証券取引のテスト計画など(音声ニュース)

デジタル通貨「DCJPY」のディーカレット、13社から63.49億円調達。新株主に8社、Swift、トークン化された証券取引のテスト計画を発表、国内ライトニングネットワーク企業Nayuta、事業終了へ、eToroが米SECと和解。ほぼ全ての暗号資産取引を停止へ、コインベース、ラップドビットコイン「cbBTC」をBaseとEthereum上に展開、ロシア、来年7月までに「CBDC」普及目指す計画。中銀が発表、BitGoが「WBTC」をアバランチとBNBチェーンで展開、レイヤーゼロのOFT標準採用で、データ分析会社Nansenがステーキングサービス「Stakewithus」買収、20種類以上の暗号資産に対応、インドネシアの取引所「Indodax」、ハッキング被害で約31億円相当流出

Sponsored

コインベース、ラップドビットコイン「cbBTC」をBaseとEthereum上に展開

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が、ラップドビットコイン「cbBTC(Coinbase Wrapped BTC)」を、ベース(Base)とイーサリアム(Ethereum)上で展開したことを9月12日発表した。なおベースは、コインベースが開発・運営するイーサリアムのレイヤー2ネットワークだ