ナイジェリア規制当局、VASPに国内での法人設立と登録料引き上げを提案

VASPに関する新たな規則案を発表

ナイジェリア証券取引委員会(SEC NIGERIA)が、仮想資産サービスプロバイダー(VASP)に対してナイジェリア国内での法人設立及び現地事業所の設置を義務付ける規則案を3月15日発表した。

ナイジェリア中央銀行(CBN)は昨年12月、世界的な動向を鑑み、それまで取引が禁止されていた暗号資産取引の制限を緩和し、VASPの活動を規制する旨を通達していた。

それによりVASPへは、暗号資産業に従事するために、ナイジェリア証券取引委員会(SEC NIGERIA)のライセンスを取得することが義務付けられている。

今回発表された規則案では、「VASPとして運営しようとする企業は、ナイジェリアに法人を設立し、事務所を維持しなければならない」という。また、CEOもしくはマネージングディレクターがナイジェリアに居住することも条件の一つとして提案されている。

また同提案の中でSEC NIGERIAは、VASPの登録料を400%引き上げることを提案している。

10万ナイラ(約1万円)の申請料と3000万ナイラ(約286万円)の登録料であったところを、申請ごとに30万ナイラ(約2.8万円)を徴収し、VASPには登録料として1億5000万ナイラ(約1431万円)を課す方針だ。 

SEC NIGERIAは同文書の中で、同規則案は「暗号資産の取引・交換・送金を推進する全プラットフォーム」に適用されると述べた。ナイジェリアユーザーを直接、または間接的に対処にしている外国人または非居住者の運営業者も対象になるとSEC NIGERIAは伝えている。

ただし、デジタル資産取引所をサポートするインフラやソフトウェア等を提供するハイテク企業には同規則案は適用されないという。また、VASPや情報提供者の金融サイトへのリンクを掲載する金融関連サイトも同規則の適用外となる。

その他にもSEC NIGERIAは、VASPに興味をもつ企業に対し、最低資本金(非借入資本金)要件を10億ナイラ(約9532万円)に引き上げることも提案している。

ナイジェリアは現在、暗号資産を規制することで法定通貨ナイラ(NGN)の安定化とインフレの抑制を図っている最中だ。

SEC NIGERIAは昨年7月、大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)による同国での事業運営は「違法」であると発表。違法認定されたのは、バイナンスによる投資か誘致活動で、その理由は同国においてバイナンスの事業がSEC NIGERIAに登録および規制されていない為とのことだった。

その際にSEC NIGERIAは、ナイジェリアで活動する全ての暗号資産プラットフォームプロバイダーに対し、ナイジェリア居住者への勧誘行為の停止を命じた。

またナイジェリア当局は2月、バイナンス幹部2名を拘束。CBNは記者会見にて、バイナンスのようなプラットフォームを通じて資金が不正に流れている兆候があると、名指しする形で厳しい指摘をしていた。

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参考:発表
images:iStock/Ninja-Studio・mirza-kadic

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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