ブロックチェーンのレイヤー2とビジネスについて世界的な開発者たちが白熱議論(Devcon Osaka Side Event “L2 and Business”)

Devcon Osaka Side Event “L2 and Business”

10月に大阪で開催されたイーサリアムの世界開発者会議「Devcon 5」。そのサイドイベントとして10月8日にブロックチェーンのLayer2技術を議論するイベント「Devcon Osaka Side Event “L2 and Business”」が開催された。

このサイドイベントのオーガナイザーには、Cryptoeconomics Lab、あたらしい経済、NodeTokyo、LayerXなど日本を代表するブロックチェーン企業やコミュニティが名を連ねた。そして、このイベントにはEthereumのLayer2領域に強く関心がある60人以上の研究者、開発者、コミュニティリーダーが集まった。今回はそのイベントのレポートをお届けする。

本レポートの最後にイベントの動画も掲載しているので、ぜひそちらもチェックしてほしい。

イベントのモデレートは Yuriko Nishijima  (Cryptoeconomics Lab)が担当し、最初のパネルディスカッションのパネリストは Georgios Konstantopoulos 、Shuhei Hiya (Cryptoeconomics Lab)、 Ben Jones ( Plasma Group )、Dan Robinson ( Paradigm)、 Hayden Adams ( Uniswap)、 Liam Horne ( L4)、 John Adler ( ConsenSys)らが名を連ねた。

最初のパネルディスカッションは、ブロックチェーンのスケーリング技術を中心にリサーチをしているヨルゴス氏のモデレートにより進められていった。

主な議論内容はブロックチェーンスペースにおいて、フォーカスすべきビジネスやマネタイズについて。

そしてヨルゴス氏の「従来のハイテクスタートアップと比較してブロックチェーンビジネスを運営することの意味とは何か?」という質問を皮切りに、議論が始まった。

UniswapのFounderであるヘイデン・アダムス氏は「今は、ビジネス領域を選択することよりも、まず分散型アプリケーションを構築することに非常に大きな価値がある」と伝えた。さらに「マネタイズのスキームも少しずつ現れてきている」と答えた。

ヘイデン・アダムスの発言に対し、Plasma Groupのベン・ジョーンズは「ブロックチェーン領域でのマネタイズ方法に100%の確証はない。しかし、人々がLayer2を構築している理由は、より安価で単純なトランザクションを作成するためではなく、より多くのユーザーをサポートしたいから。その観点から、マネタイズは生まれると確信している。」とコメントした。

パネルディスカッション後に、ヨルゴス氏は最近の研究活動の概要を説明した。

ヨルゴス氏のプレゼンテーションのタイトルは「Plasma Predicates and Bitcoin Script」だった。その中で、彼はBitcoin ScriptにされたPlasmaを設計する新しい方法を説明した。

ヨルゴス氏は「Plasmaは通常、完全に統制されたコントラクトとして認識され実装されるが、実際にはモジュール式に分離できることを指摘。

実際に、Plasma Contractは4つの機能”1.Deposit、2.Commit、3.exit、4.dispute”が存在しています。PlasmaソリューションをBitcoinで実装する提案を今回はさせてもらいます。一度、リファクタリング(コード内部を再編集したこと)で、CREATE2オペコードのアプリケーションであるPlasma Pay to Predicate Hash(P2PH)を介して楽観的なトランザクションを、ビットコインネットワーク内で検証することができるようになりました。

つまり、1度にexit処理のトランザクションをオフチェーンで処理することができるようになったため、オンチェーンでdispute処理を行うことが可能になった」とコメント

モデレータの西島氏は「様々なLayer2ソリューションを企業やプロジェクトが提案していますが、平和的に結論がでるのでしょうか?」と質問を投げかけた。

質問に対し、Uniswapのヘイデン・アダムス氏は「PlasmaとOptimistic-rollupとZK-Snarks-rollup全てに、可能性はあると考えています。なぜなら、異なる役割を果たす傾向があるからです。 たとえば、Plasmaは最もスケーラブルであり、1秒あたりのトランザクション数が最も多くなります。 PlasmaはOptimistic-rollupよりも、特定の種類のアプリケーションを実行するのは難しいです」と話した。

そして、L4の共同設立者であるリアムホーン氏は 「何らかの理由で、別々の戦略であるにもかかわらず、平和的に共存できないという物語が生まれそうな気がします。その理由は、Layer2ソリューションを実装し、 構築するのが本当に難しいからです。」と述べている。

さらに同氏は「最終的には、Layer2に対しての信頼性が高くなり、使用できるプロダクトになると思います。 構築するのは非常に難しいため、おそらく時間がかかるでしょう」と付け加えた。

ConsenSysのジョン・アドラー氏は、「同じデザインパターンで作業している複数のグループやプロジェクトのためのスペースはありますか? 私は、サービスのデザインパターンの多くは、見た目、プロパティ、機能、制限の可能性などに完全に具体化されていないため、まだ存在していないと思う」と伝えた。

さらに彼は「Layer2ソリューションを完成させるという目標のために、複数のチームを持ち、この段階で異なる技術の垣根を超えて、開発と研究を行うのを見て非常に嬉しく思います。今後は、開発者たちは自分たちのプロジェクトの出来ること出来ないことを見極め、相互運用性のための標準プロトコルを構築し始めるでしょう」と伝えた。

議論は、Layer2ソリューションが標準化されるべきかに発展した。

Plasma Groupのベン・ジョーンズは「一般的に標準化されたものを用意することには間違いなくメリットがある」とコメント。

さらにベン・ジョーンズ氏は「Plasma Groupが非営利団体であり、アイデアを仕様書にまとめ、複数のチームに実装してもらうことができて非常に幸運です。 たとえば、MaticはいくつかのPredicateを出しました。そして、Cryptoeconomics Labが正しく指摘して、変更してくれました。だから、私たちが書いた仕様が間違っていたことに対して、肯定的です。重要なのは、他の人々がそれらのアイデアを受け入れて実行できる環境を生み出すことです」と付け加えた。

このイベントにはイーサリアムの創設者である Vitalik Buterin や研究者の Jeff Coleman など、著名な研究者も参加した。

そしてイベントは最後はコミュニティの研究者と開発者がレイヤー2関連プロジェクトに貢献することを奨励するかたちで幕を閉じた。

イベントの最後にモデレーターの西島氏は「レイヤー2の研究で大幅な進歩が見られることを楽しみにしています。今後数か月でさらに進歩することを楽しみにしています」と話した。

「Devcon 5」が開催された大阪では当日数多くのサイドイベントが開催されていたが、その中でも本イベントは大盛況で終了した。

レポート原文:Yahsin Huang
レポート翻訳:竹田匡宏(あたらしい経済)
記事編集協力:Cryptoeconomics Lab

動画はこちら(英語)

 

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あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

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