米CFTC委員長、「現物ビットコインETF」承認による規制面リスクに懸念、法整備の必要性も指摘

CFTC委員長が現物ビットコインETFに関する規制リスクに懸念示す

米CFTC(商品先物取引委員会)のロスティン・ベナム(Rostin Behnam)委員長は、最近行われた現物ビットコイン(BTC)ETF(上場投資信託)の承認が及ぼす規制面でのリスクを懸念しているようだ。1月26日の基調講演で同氏が明かしている。

ベナム氏は講演にて、米証券取引委員会(SEC)による現物ビットコインETF承認が証明したように、「規制は合法化の前兆ではない」と指摘。投資家らは現物ビットコインETFが承認されたことで、SECの規制下にある取引所で資産を直接保有することなくビットコインに投資できるようになったが、「デジタル資産の現物市場における連邦議会から権限を与えられた連邦規制機関は一つもない」とベナム氏は述べている。

さらにベナム氏は、ETP(上場取引型金融商品)は法的に認められ、大衆に浸透しつつあるが、取引決済、利益相反、データ報告、サイバーセキュリテ ィ、顧客保護、透明性、一般的な市場の完全性といった問題に対処する手段は、まだ何も確立されていないと指摘。「ETPは投機的でボラティリティの高い資産を間接的な規制で薄く包み、ピカピカの新商品としてパッケージ化したもの」との考えを示した。

ベナム氏は今回の現物ビットコインETF承認が、市場参加者に対し、商品(コモディティ)の技術的承認と、現物商品(ここでいうデジタル資産)に対する現実の規制当局による監視を誤認するリスクを生む可能性があると懸念。

「現物市場のデジタル資産をめぐる連邦法の必要性は、かつてないほど危機的な状況であり、私は引き続き行動を求めていく」とし、新たな法整備の必要性をベナム氏は説いている。

SECは1月10日、ビットコインの現物に連動するETF11本を承認したことを発表。

承認された現物ビットコインETFは、ビットワイズ(Bitwise)、グレイスケール(Grayscale)、ハッシュデックス(Hashdex)、ブラックロック(BlackRock)、ヴァルキリー(Valkyrie)、BZX、インベスコ(Invesco)、ヴァンエック(VanEck)、ウィズダムツリー(WisdomTree)、フィデリティ(Fidelity)、フランクリン(Franklin)である。

現物ビットコインETFが取引の開始後2日間の取引高は、累計77億ドル(約1.1兆円)に達している。

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参考:CFTC
images:iStock/JHVEPhoto

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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