現物ビットコインETFの成功は「BTCの破壊につながる」、アーサーヘイズ氏が考察

ビットコインが破壊される

暗号資産(仮想通貨)取引所ビットメックス(BitMEX)の元責任者アーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏が暗号資産投資に関する記事を12月24日投稿した。

同記事では米国の選挙や利下げについての動向や、それらが暗号資産を含む経済にどう影響するか、そしてリアルワールドアセット(RWA)等についてのヘイズ氏の個人的見解が述べられている。

記事の中でヘイズ氏は、来年1月にも承認されるのではないかとの期待が高まっている現物ビットコイン(BTC)投資信託(ETF)についても言及。

ヘイズ氏は「基本的に、伝統的金融(TradFi)の資産運用会社が管理するETFが成功しすぎると、ビットコインは完全に破壊されるだろう」との見解を示した。

ヘイズ氏はまず、実際に存在する資産である金や紙幣とビットコインを比較し、ビットコインは「動いて初めて存在する人類史上初の貨幣資産」だと述べた。

またビットコインは2140年以降ブロック報酬がなくなるように設計されているため、それ以降マイナーはトランザクション手数料から収入を得ることになると説明した。

これはつまり、ビットコインが動かず、トランザクションの手数料が発生しなくなれば、マイナー報酬がなくなるということであり、そうなるとマイナーらはマイニングマシンの稼働をやめ、ネットワークが停止し、ビットコインが消滅すると、ヘイズ氏は考察している。

「さようなら、ビットコイン!」

現物ビットコインETFでは、実際に資産運用会社がビットコインを保有して運用されることになる。

そのためヘイズ氏は、資産運用会社がETFのためにビットコインを買い占め、保有するだけで使わないことのリスクに警鐘を鳴らした。

ヘイズ氏は「欧米や中国の大手資産運用会社が、流通するビットコインのすべてを保有する未来を想像してみてほしい」と述べ、一握りの企業がすべてのビットコインを保有し、ビットコインのブロックチェーン上でトランザクションが起きない状況では、マイナーはマイニングマシンを動かすためのエネルギー代が支払えなくなり、マシンは停止すると予想。「さようなら、ビットコイン!」とヘイズ氏は続けている。

ビットコインが消滅すると考察した一方でヘイズ氏は、ビットコインに代わる暗号資産ネットワークが成長する可能性も指摘。「そのネットワークはビットコインのリニューアル版かもしれないし、ビットコインを改良した通貨かもしれない」としたうえで、いずれにせよ非国家管理の通貨と金融システムが再度生まれるとし、その場合は「またも秘密鍵を従来の金融機関に明け渡すことはないよう学んで欲しい」と伝えた。

米資産運用会社ブラックロック(BlackRock)は12月、同社が申請中の現物ビットコインETFの構造を変更し、米大手銀行が同ETFの指定参加者(AP)になれる可能性を示していた。

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参考:アーサー・ヘイズ氏のブログ
images:iStock/LongQuattro・Funtap

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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