米コインベース元社員らインサイダー容疑で逮捕、上場情報で約2億円

米コインベース元社員らインサイダー容疑で逮捕

暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)の元プロダクトマネージャー含めた3人が、インサイダー取引に関連する容疑で起訴されたことが分かった。米司法省の7月21日に発表した。3人はコインベースに上場が予定されている暗号資産に関する同社の機密情報を使用して暗号資産のインサイダー取引を行なった容疑で、電信詐欺陰謀および電信詐欺で起訴された。

起訴されたのはコインベースの元プロダクトマネージャーのイシャン・ワヒ(Ishan Wahi)氏、その兄弟であるニキル・ワヒ(Nikhil Wahi)氏と友人のサミア・ラマニ(Sameer Ramani)氏だ。なおイシャン・ワヒ氏とニキル・ワヒ氏は7月21日にワシントン州シアトルですでに逮捕され、サミア・ラマニ氏は逃走中だという。

インサイダー取引の背景

2020年10月頃からイシャン・ワヒ氏は、コインベースの暗号資産の新規リスティングチームのプロダクトマネージャーとして勤務を開始。同氏は、コインベースに上場する暗号資産の極秘プロセスに関与し、コインベースがどの暗号資産を上場する予定であるか、それらの暗号資産上場に関する公示のタイミングについて詳細かつ高度な知識を持っていたという。

そして同氏は、少なくとも2021年8月から2022年5月まで、コインベースの暗号資産リスティングプロセスに直接関与する、少数のコインベース従業員のためのプライベートなコインベースのメッセージングチャンネルのメンバーだったとのことだ。そしてこのプライベートチャンネルでは、コインベースが会社として全従業員と共有を避けていた「正確なリスティングの発表/発売日+タイムライン」などを議論するために使用されていたとのことだ。

インサイダー取引のスキーム

イシャン・ワヒ氏は、2021年6月から2022年4月まで合計14回ほど、コインベースが特定の暗号資産を上場する予定であることと、それらの資産上場の公表タイミングの両方を事前に知っており、兄弟であるニキル・ワヒ氏と友人のサミア・ラマニ氏に機密情報を共有し、情報を不正利用したとのことだ。そしてニキル・ワヒ氏とセーム・ラマニ氏は匿名のイーサリアムウォレットを使用して、コインベースに上場予定の暗号資産を事前に取得し、上場後すぐに売却したとのことだ。25の暗号資産に関して14回の上場発表に合わせてインサイダー取引を行い、両者は約150万ドル(約2億円)の実現・未実現利益を得たとのことだ。

なおコインベース上場発表に先立って暗号資産を購入したことを隠すために、両社は他人名義の暗号資産取引所の口座を利用し、複数の匿名ウォレットを通じて資金、暗号資産、収益を送金していたとのこと。またこの計画への関与をさらに隠すために、過去の取引履歴のない新しいウォレットを定期的に作成し使用していたという。

司法関係者らの見解

米国連邦検事ダミアン・ウィリアムズ(Damian Williams)氏は、次のようにコメントしている。

「今日の起訴は、web3が無法地帯ではないことをさらに思い起こさせるものです。 先月、私はNFTに関わる史上初のインサイダー取引事件を発表したばかりですが、本日、暗号資産市場に関わる史上初のインサイダー取引事件を発表します。 これらの告発による私たちのメッセージは明確です。詐欺は詐欺であり、それがブロックチェーンで起ころうが、ウォール街で起ころうが、詐欺は詐欺なのです。 そしてニューヨーク南部地区は、詐欺師を見つけることができればどこでも、詐欺師を裁くために容赦なく続けていきます。

FBIのマイケル・J・ドリスコル(Michael J. Driscoll)副長官は、次のようにコメントしている。

「本件の疑惑は、より伝統的な金融市場ではなく、暗号資産取引所での取引に関するものですが、それでもインサイダー取引に該当します。 被告人は、少なくとも25種類の暗号資産で違法な取引を行い、総額約150万ドルの不正な利益を得ています。 本日の措置は、新旧を問わずすべての金融市場の健全性を保護するというFBIのコミットメントを示すものです」

コンベースCEOの見解

コインベースCEOブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏は、米司法省の発表を受けて「コインベースでは、違法行為がないか積極的に監視し、不正の疑いがある場合は調査しています。4月にコインベースに上場する直前の暗号資産が、フロントランニングされた可能性があるという情報を得ました。私たちはすぐにこの件について調査を開始しました」とツイートした。

そして今回の捜査協力を行なったこともツイートで明かし、「暗号資産に関わるすべての人、そしてコインベースにとって、フロントランニングは違法であり、信頼を損なうものであることを思い知らされるものです。私たちは悪質な行為者を調査し、法執行機関に照会し、彼らは実刑を含む実際の法的結果に直面することになります」と説明した。

参考:米司法省
デザイン:一本寿和
images:iStocks/ronstik

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

合わせて読みたい記事

【12/7話題】メタマスクがインフラのユーザーデータ保存短縮、StrikeのアフリカへのLN送金など(音声ニュース)

メタマスク、「インフラ」のユーザーデータ保存を7日に短縮、Strike、ビットコインライトニングでアフリカ諸国への送金サービス「Send Globally」ローンチ、EVM互換の国産ブロックチェーン「Japan Open Chain」、IEOに向けフォビジャパンと覚書締結、バイナンスが「Ape NFT」ステーキング提供へ、「BAYC」など対象でApeCoin獲得可能に、米ワーナーミュージックとポリゴンとLGNDが提携、「LGND Music」ローンチへ、スイスSEBA銀行と香港HashKeyが提携、経産省、NFTとメタバース活用の実証事業を実施へ、コインベースジャパンにテゾス(XTZ)上場、米コインベース、「MultiversX(EGLD)」上場へ

Sponsored

ゴールドマンサックス、評価額低迷する暗号資産企業の投資や買収を計画中。FTX崩壊を好機に

FTXの破綻により、暗号資産(仮想通貨)関連企業の評価額が低下し、投資家の関心が薄れている。 そしてその現状を踏まえ、世界有数の投資銀行であるゴールドマン・サックスは、数千万ドルを投じて暗号資産関連企業を買収または投資する計画を示した。