九州工業大の履修証明書にブロックチェーン、実証実験開始

九州工業大の履修証明書電子発行に関する実証実験開始

福岡県飯塚市、九州工業大学(九工大)、アイティフォー、chaintope(チェーントープ)の4者がブロックチェーンを活用した「九州工業大学の履修証明書電子発行に関する共同実証実験」を開始することを発表した。この実証実験は5月から9月末までの5か月間行われるとのこと。ブロックチェーンはchaintope開発の「Tapyrus(タピルス)」が採用されている。

発表によると今回の実証実験は、九工大の証明書をデジタルで発行し、行政が運用までを想定してデジタルで受け取る、日本初の社会実験になるとのことだ。昨年10月よりシステム開発が行われており、今年3月より実証実験が開始する予定だった。

この実証実験では、九州工業大学情報工学部の情報教育支援士養成講座の履修証明書を対象に実施するという。

これまで紙で発行してきた履修証明書を電子発行し、講座修了生が専用スマホアプリで電子証書を受領する。そして飯塚市に電子的に提出を行い、証明書の真正性を検証確認の後、修了生が実務活用するといった一連の運用を実施するとのこと。

これにより「Tapyrus」を活用したトラストサービス「電子交付システム」の有効性を検証し、証明書発行業務の効率化、利便性の向上によるコスト・業務負荷の削減効果を実証するとしている。

また「電子交付システム」によって認証された情報教育支援士が、実際に活動する場を公的に設けることで、地域のICT教育・リテラシーの向上や、人材の域内循環に対する相乗効果についても実証するという。

なおこの「電子交付システム」はアイティフォーが構築および運用するトラストサービスとなっており、履修証明書の登録や配布に使用されているとのこと。

そして「電子交付システム」に「Tapyrus」を導入することで、電子データ形式で取得した証明書の不正な書き換えや、大学になりすました証明書の偽造行為を防止し、真正性の担保を実現したという。さらに今回、スマホアプリケーション「MY証明書」を開発したことで、修了生がより簡単に履修証明書を取得・真正性検証・提出が可能になるとのことだ。

あたらしい経済編集部が昨年10月に今回の実証実験開始が発表された際に、株式会社アイティフォー フィナンシャルシステム事業部 営業推進部 部長の儘田隼一氏へ取材を行ったところ、「将来的には行政、金融機関などが発行する各種証明書の電子化も視野に入れ、利便性、効率性、環境保護の観点からより有益となり、地方創生を支援できるようなソリューションを展開していきたい」とコメントを得ている。

福岡県飯塚市は昨年11月、「飯塚市ブロックチェーン推進宣言」を発出し、飯塚市内の産学官と連携しながらブロックチェーン技術の振興支援に取り組んできた。

このような背景から九工大やchaintope、地元の大学・企業、アイティフォーと連携し、一丸となって業務の電子化に取り組むことで、情報産業都市づくりをさらに加速させるとのことだ。

なお九工大とchaintopeは1月から同大学が推進する「カーボンニュートラル・キャンパス」実現に向けた連携を開始している。「カーボンニュートラル・キャンパス」では、「地域やキャンパスのリアルタイムの電力需給データ」や「給電スタンドとEVの間の電力融通の証跡」などをブロックチェーンに記録する機能の実装を予定とのことだ。

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参考:chaintope
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Chinnapong・jauhari1

この記事の著者・インタビューイ

一本寿和

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

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