欧州のスーパーに再びサイバー攻撃、8カ国で食品大量廃棄

欧州スーパーの冷蔵・冷凍庫に再攻撃、各社が対策急ぐ

欧州のスーパー各社は11月3日、冷蔵庫や冷凍庫の温度を不正に引き上げるサイバー攻撃が再び発生したことを受け、システムの更新を急いでいた。さらなるハッキングを防ぐ狙いだ。

欧州8カ国の店舗は11月2日、ハッカーに冷蔵庫を不正操作され、大量の食品の廃棄を余儀なくされた。3週間前には、フランスの数十店舗のスーパーでも同様の攻撃が発生していた。

スウェーデンのスーパーチェーン、コープ(Coop)は、4G接続から5Gネットワークと新型モデムを使うシステムへの切り替えを進めていると説明した。この作業は、フランスでの被害を受けて今回の攻撃以前から進めていたという。

コープの広報担当者によると、今回攻撃を受けた7店舗は、冷蔵設備のシステムをインターネットから切り離した状態で営業を再開している。

同担当者は「店舗網全体を徹底的に調べ、どこかに脆弱性がないか確認している」と述べた。

ソフトウエアを提供するダンフォス(Danfoss)のシステムも、今回再び攻撃対象となった。ダンフォスは、過去3週間にわたり顧客と緊密に連絡を取り、対応を支援してきたと説明した。また、システムにインターネット経由で直接アクセスできないようにすることを推奨した。

オランダ・ハーグに拠点を置くデロイト(Deloitte)のサイバーセキュリティ専門家、フランク・フルーネウェーヘン(Frank Groenewegen)氏は、小売業者に早急な対応を呼びかけた。

同氏は「自社の冷蔵設備の制御装置に脆弱性があるかを調べ、インターネットへの接続状況を確認すべきだ。最新のセキュリティ更新が適用され、メーカーのサポート対象となっていることも確かめる必要がある。そうした状況すら把握していないのであれば、直ちにインターネットから切り離すべきだ」と述べた。

さらに同氏は、インターネットから切り離す効果について、「接続を切るだけでは根本原因の解消にはならないが、少なくともシステムを隔離し、攻撃者による同様の不正操作を防ぐことはできる」と説明した。

店舗ごとに異なるシステム、当局も警戒

欧州では、独立した事業主が協同組合方式で運営するスーパーが多く、使用するシステムも店舗ごとに異なる。

スウェーデンの食品スーパー、ICAでは、11月2日の攻撃で23店舗が被害を受けた。ICAによると、これらの店舗の被害機器はすべて、チェーンが一元管理する店舗ネットワークとは別のネットワークに接続されていた。

ICAの店舗オーナーであるクリスチャン・オロフソン(Christian Olofsson)氏は、スウェーデンのトメリラとシェーボーで運営する店舗が攻撃を受けたとき、ちょうどセキュリティシステムの切り替えを進めていた。それだけに、今回の被害にはいっそうのいら立ちを覚えたと語った。

スウェーデン警察の広報担当者によると、11月2日以降、約10件の被害の届け出があった。今後さらに増えると見込んでいるという。

ドイツのスーパー運営企業エデカ(Edeka)も、同国ライスバッハの店舗で冷蔵庫へのハッキング被害があった。同社はロイターに対し、店舗は独立した小売業者が運営しており、冷蔵設備のシステムは店舗網全体で統一されていないと説明した。

事業を一体的に運営するスーパーグループも被害を免れなかった。カルフール(Carrefour)では、3週間前にフランスのフランチャイズ加盟店80店舗が攻撃を受けたのに続き、11月2日にはベルギーの15店舗でも同様のサイバー攻撃が発生した。

欧州連合(EU)のサイバーセキュリティ機関(ENISA)は、複数の加盟国の小売業が狙われた今回の大規模な攻撃について、欧州での協力や迅速な情報共有の重要性を指摘した。サイバーインシデントへの対応でも連携が重要だと強調した。

英国でも、小規模な食肉加工業者が攻撃の標的となった。英国の国家サイバーセキュリティセンター(National Cyber Security Centre:NCSC)のリチャード・ホーン(Richard Horne)最高経営責任者(CEO)は、影響はごくわずかだったと説明した。

ホーン氏によると、NCSCは各組織と協力し、脆弱性を見つけ出して、悪用される前に解消する取り組みを進めている。同氏は「当然ながら、警戒を強化している」と述べた。

ホーン氏は、旧式の技術ではハッカーの手口に対応しきれず、今後はこうした混乱がますます頻繁に起こるとの見方を示した。スーパーの冷蔵庫を狙った今回の攻撃は、その初期の兆候にすぎないと指摘した。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
European supermarkets rush to patch vulnerabilities after region-wide fridge hack
(Reporting by Anna Ringstrom in Stockholm, Louise Rasmussen in Copenhagen, Marcus Mathiesen and Dimitri Rhodes in Gdansk, Helen Reid, James Davey and Michael Holden in London; Editing by Susan Fenton)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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