北朝鮮、バイナンス巨額流出事件への関与否定。FBI発表を「政治的挑発」と批判=報道

FBIは北朝鮮による犯行と判断、金与正氏は米国側の関与も示唆

海外大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)から60億ドル超(約9,468億円超)の暗号資産が流出した事件について、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記の妹で、朝鮮労働党総務部長を務めるキム・ヨジョン(金与正)氏が、北朝鮮の関与を否定した。また金与正氏は、米連邦捜査局(FBI)の発表を「重大な政治的挑発」と非難した。韓国の「聯合ニュース(Yonhap News)」が11月3日に報じた。

FBIは10月31日、同月29日頃に発生した今回の事件を北朝鮮による犯行と判断したと発表した。同局は今回の北朝鮮によるサイバー攻撃活動を「トレーダートレイター(TraderTraitor)」と呼んでいる。トレーダートレイターは過去の暗号資産窃盗事件にも関連付けられており、北朝鮮は以前から同様の事件への関与を指摘されてきた。

聯合ニュースは、北朝鮮の国営朝鮮中央通信(KCNA)が伝えたキム・ヨジョン氏の談話を引用している。同氏は、FBIが北朝鮮を「サイバー犯罪国家」と位置付けようとしていると批判した。また、米国が世界各地のサイバー犯罪を北朝鮮の仕業であるかのように扱い、国際世論を誤導していると主張した。さらに、米国政府が不正に取得された暗号資産を没収し、国家の戦略備蓄に利用する方針に言及。盗難資産が最終的に誰の手に渡るかを見れば、事件の背後にいる人物を知る手掛かりになるとの見方を示し、米国側の関与を示唆した。

今回の談話について、韓国統一省の高官は、北朝鮮のサイバー攻撃疑惑に金与正氏が声明を出したのは初めてだと説明した。北朝鮮は従来、同様の疑惑に対して外務省名義で反論することが多かったとのことだ。また、同高官は、事件の国際的な影響が広がるなか、北朝鮮が金与正氏を通じて対応の水準を引き上げたとの見方を示した。

一方、ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)も、今回の事件をトレーダートレイターによるものと評価している。同社は、バイナンスから盗まれた資産と、9月に発生した暗号資産取引所ビットゲット(Bitget)の流出事件で盗まれた資産が、ブロックチェーン上で混合されていたことを確認した。チェイナリシスは、この資金のつながりを犯行主体の判断を支える根拠の一つとして挙げている。

また、チェイナリシスは10月30日に公開した記事で、法執行機関やステーブルコイン発行企業などの対応により、約28億ドル(約4,418億円)の盗難資産が凍結されたと報告した。FBIも米シークレットサービス(USSS)などとともに、盗難資産のさらなる資金洗浄を警戒している。米当局は暗号資産関連事業者に対し、攻撃者が資金洗浄に使用するアドレスや、そこから移動した資金に関連する取引を阻止するよう協力を求めている。

参考:聯合ニュース
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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