チェイナリシス、不正アクセス被害を公表。顧客の氏名やメルアドなどに第三者がアクセス

チェイナリシス、外部攻撃者による不正アクセスを確認

ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)が、外部の攻撃者による同社のシステムと内部ツールへの不正アクセスを受け、顧客情報の一部にアクセスされたと10月30日に発表した。同発表時点では、調査関連データや認証情報への不正アクセスを示す証拠は確認されていない。同社は外部の専門家と協力し、原因の調査やセキュリティ対策を進めている。また、11月2日には安全確保のため、一部製品を予防的に停止したことを明らかにした。

チェイナリシスは、ブロックチェーン上の取引を分析し、法執行機関や金融機関などによる不正資金の追跡や調査を支援する企業だ。今回アクセスされた情報には、同社のプラットフォームに登録されたユーザーのID、氏名、メールアドレス、組織内での役割を示すラベルなどが含まれる。同社はこれらを機密性のない顧客データと説明している。

一方、チェイナリシスは、暗号資産の取引追跡に使用するグラフやメモ、調査案件などの情報について、不正アクセスの兆候は確認されていないと説明した。また、取引結果やクエリ結果、平文のパスワード、多要素認証(MFA)の秘密情報、ユーザーのセッショントークンについても同様だ。セッショントークンは、ログイン後の認証状態を維持するために使用される情報を指す。

攻撃手法について、チェイナリシスは10月中に「攻撃的なエージェント型技術(offensive agentic techniques)」を使用した外部攻撃者による不正アクセスを検知したと説明した。エージェント型技術は、AIなどが複数の作業を自律的に実行する仕組みを指す。ただし、今回の攻撃で使用された具体的な技術や侵入経路は明らかにされていない。

同社は今回のインシデントを受け、外部のサイバーセキュリティ専門家を起用した。さらに、高度な大規模言語モデル(LLM)を活用し、プラットフォーム全体のセキュリティを調査している。今回悪用された脆弱性の修正に加え、システム全体の防御強化も進めているとのことだ。

チェイナリシスが11月2日に公表した追加情報によると、停止対象には「リアクター(Reactor)」や「データ・ソリューションズ(Data Solutions)」が含まれる。同社はサービス再開前に、外部のサイバーセキュリティ専門家と追加のセキュリティ評価を実施する方針だ。一方、コンプライアンス向けの取引監視製品については、調査中も稼働を継続すると説明した。

また、チェイナリシスは今回のインシデントについて、すべての顧客に自主的に通知した。同社は影響を受けた顧客組織ごとにアクセスされた記録の特定を進めており、分析完了後に詳細を提供する予定だ。利用者には予期しないパスワードのリセット要求や認証要求への警戒を呼びかけ、二要素認証を有効にしていない組織には設定を強く推奨している。

なお、チェイナリシスは今回の不正アクセスについて、暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)で最近発生した暗号資産の盗難事件とは無関係だと明言している。

参考:チェイナリシス
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
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