MiCA非準拠の14銘柄が対象、期限後の入金は反映されず
米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が、欧州経済領域(EEA)の個人顧客が保有するUSDTなど14銘柄の暗号資産を、10月30日にUSDCなどへ自動変換する。同社公式サイトのヘルプページで10月28日時点で確認できる。
対象資産は欧州連合(EU)の暗号資産市場規制「MiCA」に準拠していないとして、すでに売買や交換が制限されている。顧客が対象資産を引き続き保有するには、10月30日までに外部ウォレットへ出金する必要があるとのことだ。
対象となる14銘柄は、USDT、PAX、PYUSD、GUSD、GYEN、DAI、BUST、UST、RAI、PAXG、MUSD、USD1、USDS、TGBP。この中には、テザー(Tether)が発行するUSDTやペイパル(PayPal)のPYUSD、ワールド・リバティ・フィナンシャル(World Liberty Financial)のUSD1などが含まれる。また、金価格に連動するPAXGも対象となっている。コインベースは今回の案内で、これらの資産を「ステーブルコイン」と総称している。
自動変換では、10月30日時点でコインベースのアカウントに残っている対象資産が、変換時の市場レートに基づいて原則USDCへ交換される。ただし、USDCへの変換が適切でない場合は、別のサポート対象の暗号資産または通貨に変換されるとのこと。処理は1回限りで、変換後の残高は顧客のアカウントに反映される。なお暗号資産間の交換は、一部の法域では課税対象となる可能性がある。
一方、出金期限後にコインベースへ送金された対象14銘柄は、アカウント残高に反映されず、取引や移転、自動変換もできない。技術的に可能な場合は、資産復旧手続きを通じて返還できる可能性があるとのこと。ただし、すべての資産やネットワークに対応しているわけではなく、復旧は保証されない。
今回の措置の背景には、EUのMiCAによる規制がある。MiCAは暗号資産の発行や関連サービスに共通のルールを設ける制度で、ステーブルコインを電子マネートークン(EMT)と資産参照トークン(ART)に分類している。発行体には、それぞれの区分に応じた認可などの要件が課される。
コインベースは、ステーブルコイン発行体に対するMiCAの移行期間が今年7月1日に終了し、延長されなかったと説明している。同社によると、これに伴い、MiCAに基づく認可を取得していない発行体のステーブルコインについて、サポートを継続できなくなったとのこと。なお、コインベースのEEA向け暗号資産サービスは、ルクセンブルクの金融監督委員会(CSSF)からMiCAに基づく認可を取得したコインベース・ルクセンブルク(Coinbase Luxembourg S.A.)が提供している。
また、欧州証券市場監督機構(ESMA)は10月8日、MiCAに準拠していないステーブルコインに関連するサービスについて、暗号資産サービスプロバイダーに提供停止を求める監督上の見解を公表した。対象には売買だけでなく、保管や移転などのサービスも含まれる。
一方、自動変換先となるUSDCは、米ステーブルコイン発行企業サークル(Circle)が発行する米ドル連動型ステーブルコインだ。サークルは2024年7月、フランスの銀行監督当局から電子マネー機関(EMI)としての認可を取得し、USDCをMiCAに準拠した形でEU域内で発行している。
コインベースは今後、対象ステーブルコインがMiCAに準拠した場合、サポートの再開を再評価する方針だ。ただし、すでに完了した自動変換が取り消されることはないとのこと。
参考:コインベース
画像:PIXTA