Zcash共同創設者、開発助成プログラム「ZCG」への8%配分打ち切り提案

純資産は約198億円と試算

プライバシー重視の暗号資産ジーキャッシュ(Zcash:ZEC)の共同創設者ショーン・ボウ(Sean Bowe)氏が、開発助成プログラム「ジーキャッシュ・コミュニティ・グランツ(Zcash Community Grants:ZCG)」へのブロック報酬の自動配分を打ち切り、配分比率8%を「ネットワーク・サステナビリティ・メカニズム(Network Sustainability Mechanism:NSM)」に振り向ける改善提案(ZIP)のドラフトを公開した。ドラフトは10月26日付で作成されたもの。

NSMは、発行を留保したZECを将来的に再発行し、ネットワークの持続性を支える仕組み。今回の提案はまだドラフト段階で、実施は決定していない。

ボウ氏は27日にXで「ZCGの資金ストリームを止める時だ」と投稿。ZCGにはすでに十分な資金が蓄積されており、今後も自動配分を続ける必要はないとの考えを示した。

ZCGの純資産は約198億円、年間1,000万ドルの支出でも12年分超

ZIPドラフトによると、ZCGの公開ダッシュボードに記載された資産は91,452.98 ZECと約880万ドル(約13億8,945万円)の米ドル建て資産。未払いの助成金債務は約242万ドル(約3億8,182万円)となっている。

債務控除後の純資産は、ZEC価格を1,300ドル(約20万5,348円)と仮定した場合で約1億2,527万ドル(約197億8,732万円)、1,000ドル(約15万7,960円)で約9,783万ドル(約154億5,355万円)、500ドル(約7万8,980円)でも約5,211万ドル(約82億3,059万円)と試算された。

一方、ZCGの法的受け皿であるファイナンシャル・プライバシー・ファウンデーション(Financial Privacy Foundation:FPF)が報告した2026年第1四半期のZCGの支出は約153万ドル(約2億4,181万円)で、年換算では約612万ドル(約9億6,725万円)にとどまる。年間支出を1,000万ドル(約15億7,960万円)と仮定しても、ZEC価格が1,300ドルの場合は約12.5年分、500ドルでも約5.2年分の資金に相当するという。

なお、資産額は10月21日時点のブロック高3,526,011を参照した公開ダッシュボードの数値に基づく。ドラフトでは、一部データに「要更新」との表示があり、独自の照合は行っていないと注記されている。

新規配分は年間約108億円相当

現行のブロック報酬は1ブロック当たり1.5625 ZECで、ZCGへの8%配分は1日144 ZEC、年間52,560 ZECに相当する。ZEC価格を1,300ドルとした場合、年間流入額は約6,833万ドル(約107億9,309万円)となり、2026年第1四半期の支出を年換算した金額の11倍を超える。

ボウ氏は、固定割合による配分では、受け手の資金残高や支出状況にかかわらず、ZEC価格の上昇に伴ってドル建ての流入額が膨らむと指摘。多額の資産を助成プログラムに蓄積し続けることは、資産管理やガバナンス上のリスクを高めるとして、新規配分の停止を提案している。

また、追加の資金配分については、助成委員会への自動的な積み増しよりも、コイン保有者による意思決定を優先すべきとの立場を示した。

既存資産とCCFへの12%配分は維持

今回の提案は将来のブロック報酬の配分先を変更するもので、ZCGにすでに割り当てられた資金を回収するものではない。ZCGは既存資金を引き続き管理し、助成金の支払いや新規助成の承認も継続できる。

ZCGは2020年に「Zcash Open Major Grants」として始まった助成プログラムで、コミュニティが選出する5人の委員会が助成を承認する。提案はこの運営体制を変更しない。

また、ブロック報酬の12%が割り当てられる「コイン保有者管理基金(Coinholder-Controlled Fund:CCF)」の配分比率と期間も維持される。

8%分は新規発行せずNSMに計上

技術的には、ZCG向け資金ストリームの終了ブロック高を前倒しし、同じ高さから第3回半減期まで、8%分をNSMに振り向ける。

振り替え分は新規発行されず、発行済み供給量に含まれないNSMの残高に直接計上される。マイナーの報酬計算式も変更されず、振り替え分の8%をマイナーが受け取ることはできない。

次期ネットワークアップグレード「NU7」では、ZIP 218に基づきブロック間隔を75秒から25秒に短縮する予定だが、報酬額も調整されるため、1日当たりの配分量はほぼ変わらない。

NU7には含まれず、実装時期は未定

提案のステータスは現時点で「Draft」で、有効化ブロック高や参照実装は未定だ。仕様が固まっているNU7には含まれておらず、実施にはNU7以降、既存のZCG向け資金ストリームが満了する前のネットワークアップグレードが必要となる。

なお、暗号資産メディア「ザ・ブロック(The Block)」によると、ZECは10月27日時点で約1,248ドル(約19万7,134円)で取引され、過去24時間で約2%上昇していた。

参考:Zcash改善提案ドラフト・報道
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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