カントンのテスト環境で円・ウォンの直接交換を検証
SBIホールディングス子会社のSBIデジタルプラクティスと、韓国の生命保険会社である教保生命保険(Kyobo Life Insurance)が、ステーブルコインの活用を見据えた日韓間の国際取引の実証実験を実施した。両社が9月17日に発表した。
実証は、金融機関向けパブリックブロックチェーン「カントンネットワーク(Canton Network)」のテスト環境で実施された。両社は円建てステーブルコインの仕様を想定した検証用トークンを日本側から送り、国境を越えた交換・決済を経て、韓国側で受け取るまでの一連の流れを検証した。
なおカントンネットワークは、金融市場向けのオープンなブロックチェーンだ。異なるアプリケーションや資産、市場参加者を接続しながら、取引当事者間で必要な情報のみを共有できるよう設計されている。独立した非営利団体カントン財団(Canton Foundation)は、同ネットワークの相互接続基盤「グローバル・シンクロナイザー(Global Synchronizer)」のガバナンスを支援している。
教保生命によると、実証実験は今年7月から進められていたとのこと。実証では、円建てとウォン建てのステーブルコインを直接交換する仕組みを、テスト用トークンで検証したという。米ドルを介さずに、日本から韓国へ資金を移転する構造が想定されている。
円を米ドルに交換した後、ウォンに交換する従来の経路では、複数回の両替に伴う時間や費用、為替変動リスクが課題となる。教保生命は今回の実証を通じ、処理時間の短縮や両替手続きの簡素化によるコスト削減、取引情報のリアルタイムでの確認・追跡の可能性を確認したとしている。
また教保生命は、海外から受け取った検証用トークンを安全に保管・管理するための業務フローも検証したとのこと。今後の法整備や制度化を見据え、海外投資やデジタル決済、トークン化資産の取引などに必要なノウハウの蓄積につなげるとのことだ。
両社は今後、国際決済に加え、資産運用分野での連携や共同ビジネスモデルの開発など、協業の拡大を検討する。
なおSBIデジタルプラクティスは、カントンネットワークに特化したオンチェーン金融の事業開発・システム構築・運営を手がけるSBIホールディングスの完全子会社だ。教保生命保険は、SBIホールディングスの持分法適用関連会社となっている。
SBIホールディングスとSBIデジタルアセットホールディングスは2024年7月4日、教保生命保険グループとの戦略的業務提携を発表していた。この提携では、韓国でのデジタル金融エコシステムやコンソーシアムの構築を通じ、STO(セキュリティトークンオファリング)領域で新たな事業機会を創出する方針が示されていた。
具体的には、セキュリティトークン(ST/デジタル証券)の発行・流通に関する機会や課題を共同で特定し、研究を進めるとのことだった。またSBIグループと教保生命保険グループは、2022年にも東南アジアのデジタルプラットフォーム関連企業に投資するベンチャーファンドを共同設立するなど、協業を進めてきた。