OPSの新規登録を12カ月停止へ
フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas:BSP)が、決済システム運営者(Operator of Payment System:OPS)の新規登録を12カ月間停止する規制案を公表した。OPSの分類体系やライセンス制度などを見直すためだ。
また同規制案では、暗号資産(仮想資産)サービスプロバイダー(VASP)など一部の高リスク事業者に対する決済サービスについて、強化されたデューデリジェンスや継続的なモニタリング、取引・決済上限の設定などを求める方針も示された。
今回の規制案は、BSPが公表した「決済システム規則マニュアル(MORPS)」を改正する回状(Circular)の草案に盛り込まれたもの。決済システムにおける詐欺やマネーロンダリングなどへの対策を強化し、加盟店や仲介業者、資金フローの透明性を高めることが目的だ。
草案では、OPSの新規登録申請の受付および審査を、規制の施行から12カ月間停止するとしている。
BSPはこの期間中に、OPSの分類体系やライセンス枠組み、関連するリスク管理・規制上の論点を包括的に見直す方針だ。
停止開始前に受理された申請については審査を継続できるものの、停止期間が終了するまでは承認または却下の決定を行わない。
草案では、一部の高リスク業種について、1者以上の仲介業者が関与する「多層型加盟店契約(layered merchant arrangement)」を認めず、加盟店向け決済サービスの提供を認められたBSP監督下の銀行や決済事業者などとの直接加盟店契約を求める。
対象事業者には、BSPやフィリピン証券取引委員会(SEC)など関係当局の許認可・登録を必要とするVASPのほか、カジノやその他のギャンブル事業者、合法的なアダルト向け商品・サービス事業者、マネーサービス事業者(MSB)などが含まれる。
これらの事業者に決済サービスを提供する金融機関には、強化されたデューデリジェンスや継続的なモニタリングに加え、事業内容やリスクに応じた取引・決済上限を設定することなどが求められる。
今回の草案では、「直接加盟店契約(direct merchant arrangement)」、「仲介業者(intermediary)」、「多層型加盟店契約」、「最終受益者(ultimate beneficiary)」、「原加盟店(underlying merchant)」などの定義をMORPSに追加する。
多層型加盟店契約そのものを全面的に禁止するのではなく、仲介業者が加盟店獲得業務に必要な許可を得ていることや、各当事者の責任が明確になっていること、原加盟店や最終受益者まで資金フローを追跡できることなどを条件に認める。
一方、こうした構造が詐欺やスキャム、マネーロンダリング、テロ資金供与、制裁逃れなどの検知・調査・是正を著しく妨げる場合には、多層型加盟店契約を制限する。
また高リスクと判断された契約については、取締役会レベルでの承認に加え、少なくとも四半期ごとの管理レビューと年1回の独立した検証を求める。
仲介業者が加盟店獲得業務を別の事業者に再委託し、新たな仲介層を設けることも原則として禁止される。
仲介業者や原加盟店、最終受益者、実質的所有者などについては、サービス開始前や重要な変更が生じた際、制裁リストが更新された際などにスクリーニングを実施する必要がある。
また詐欺・スキャム、制裁違反、サイバー攻撃やデータ漏洩、無許可営業などの重大なインシデントが発生した場合、対象金融機関は発覚から24時間以内にBSPへ第一報を提出し、その後5営業日以内に詳細な報告書を提出することが求められる。
草案では、全国統一QRコード規格を利用する加盟店の情報を集約する「National QR Code Merchant Database」の構築も盛り込まれた。
同データベースは原則としてBSPが設置・運用し、必要に応じて決済システム管理団体(PSMB)に機能を委任する。
加盟店の識別情報や登録商号、事業分類、事業登録・ライセンス情報、決済サービスプロバイダー、決済口座、所有者、リスク分類、加盟店ステータスなどを管理し、決済サービスプロバイダー間で加盟店情報を共有できる仕組みを整える。
BSPは施行後90暦日以内に暫定的な加盟店情報リポジトリを設置し、12カ月以内にデータベースを本格稼働させる計画だ。既存のアクティブ加盟店のデータについては、15カ月以内に移行・検証する。
金融機関は施行後6カ月以内に既存の多層型加盟店契約を点検し、要件を満たしていない場合は、点検の完了から6カ月以内に是正する必要がある。
12カ月の移行期間終了後も要件を満たしていない場合は監督上の措置の対象となる。また移行期間終了後30営業日以内に、最高コンプライアンス責任者または同等の役職者による証明書(Certification)をBSPへ提出することが求められる。
なお今回の回状は現時点では草案であり、正式な規制ではない。草案では、正式決定された場合、官報または一般紙への掲載から15日後に発効するとしている。
BSPは現在、草案について関係者から意見を募集しており、内容は正式決定までに変更される可能性がある。
参考:発表
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