「Claude Fable 5.1」を一般提供、「Mythos 5.1」は限定提供
米AI企業アンソロピック(Anthropic)が、最新AIモデル「クロード・フェイブル5.1(Claude Fable 5.1)」と「クロード・ミトス5.1(Claude Mythos 5.1)」の提供開始を9月1日に発表した。「Claude Fable 5.1」は同日から一般提供され、「Claude Mythos 5.1」は審査を通過したサイバー防御担当者や生命科学分野の専門家・組織に限定提供される。
両モデルは同一の基盤モデルで、適用されるセーフガードの水準が異なる。「Claude Fable 5.1」は一般利用向けのセーフガードを備える一方、「Claude Mythos 5.1」は、サイバーセキュリティや生命科学の専門業務向けに、より許容範囲の広いセーフガードが適用される。
「Claude Fable 5.1」は、前モデル「Claude Fable 5」の後継として、コーディングや知識労働、長時間にわたる複雑な問題解決を強化したモデルだ。Claude.aiやClaude Code、Claude APIのほか、アマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services:AWS)、グーグル・クラウド(Google Cloud)、マイクロソフト・アジュール(Microsoft Azure)などで利用できる。APIのモデルIDは「claude-fable-5-1」となる。
また両モデルは、標準で100万トークンのコンテキストウィンドウと、最大12万8,000トークンの出力に対応する。処理するタスクに応じて推論量を調整する「アダプティブ・シンキング(adaptive thinking)」も常時有効となっている。
性能向上、キャッシュ読み取り料金は75%減
アンソロピックが公表した評価では、科学研究向けベンチマーク「Terminal-Bench-Science 0.1」における「Claude Fable 5.1」のスコアは52.6%となり、「Claude Fable 5」の24.7%を上回った。また、エージェント型コーディングのベンチマーク「Terminal-Bench 4.0」では、「Claude Fable 5.1」が55.8%、「Claude Mythos 5.1」が60.9%となった。「Claude Fable 5」は42.0%だった。
API料金は、入力100万トークン当たり10ドル(約1,600円)、出力100万トークン当たり50ドル(約8,000円)で、「Claude Fable 5」から据え置かれた。一方、一度処理した入力情報を再利用するキャッシュ読み取り料金は75%引き下げられ、100万トークン当たり0.25ドル(約40円)となった。
これにより同社は、一般的な処理では「Claude Fable 5」比で約25%、AIが外部ツールなどを用いて複数の工程を自律的に進める高度なエージェント型処理では、最大約45%のコスト削減が見込めるとしている。
セーフガードや専門分野での活用も強化
またアンソロピックは、企業向けの新たな保護機構「エンタープライズ・フロンティア・セーフガーズ(Enterprise Frontier Safeguards:EFS)」も発表した。顧客データをアンソロピックのシステムではなく、顧客自身が管理するクラウド環境に保存することで、同社によると、悪用検知を維持しながらゼロデータ保持と同等のプライバシーを実現するという。EFSは今秋から段階的に提供される予定だ。
「Claude Fable 5.1」ではサイバーセキュリティ関連のセーフガードも改良された。ソフトウェアの脆弱性を特定する用途が新たに認められ、Claude Codeではセーフガードによる介入が従来比で平均約60%減少する見込みだという。ただし、侵入テストやエクスプロイト生成など、一部のデュアルユース用途は引き続き他のClaudeモデルへ振り分けられる。
一方、「Claude Mythos 5.1」は、信頼済み利用者向けプログラムを通じて提供される。サイバー防御担当者向けの「サイバー・ベリフィケーション・プログラム(Cyber Verification Program:CVP)」には今後、同モデルへのアクセスが追加される予定だ。また、生命科学分野の専門家向けには「ライフサイエンス・ベリフィケーション・プログラム(Life Sciences Verification Program:LSVP)」が設けられ、米政府との連携により最初の参加者が登録されている。
現時点で「Claude Mythos 5.1」の提供は米国の一部組織に限られるが、アンソロピックは米政府と連携し、米国内外への提供拡大を目指すとしている。また、コードベースの脆弱性をスキャンし、人間による確認向けに修正案を提示する「クロード・セキュリティ(Claude Security)」にも同モデルが採用された。
科学研究分野では、「Claude Mythos 5.1」が12種類の標的に対して設計したタンパク質バインダーのヒット率(結合が確認された割合)が約50%に達したという。また「Claude Fable 5.1」は、30年以上前のNASAのレーダー画像などを基に、金星の約3分の1を対象とする高解像度の標高図を作成したとのことだ。
なお、両モデルが生成するテキストには、EUのAI法への対応として、外部からは見えない電子透かしが付与される。電子透かしの検出APIは、規制当局やメディア、ファクトチェック機関、研究機関などを対象に非公開プレビューとして提供されている。
We’re introducing Claude Fable 5.1 and Claude Mythos 5.1.
— Claude (@claudeai) September 1, 2026
They’re the world’s most advanced models for coding and knowledge work. pic.twitter.com/8P9PSrWPi3
参考:アンソロピック
画像:Reuters