トークン化MMFをETFや投資信託に活用へ
米資産運用大手フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)が、トークン化された金融商品を従来型の投資ファンドに組み入れる準備を進めている。ブルームバーグが8月20日に報じた。
同社は、デジタルネイティブな金融商品を伝統的なファンドの運用に活用する枠組みについて、SECスタッフから、一定の条件下で法執行を勧告しないノーアクションの見解を得たという。
米証券取引委員会(SEC)に提出された書簡および同社幹部の説明によると、フランクリン・テンプルトンはトークン化されたマネー・マーケット・ファンド(MMF)を、上場投資信託(ETF)や投資信託(ミューチュアルファンド)の現金管理や証券貸借の担保などに活用する計画だ。
これにより、トークン化資産への投資を意図していない一般投資家が保有する従来型ファンドのポートフォリオにも、トークン化された金融商品が組み込まれる可能性がある。
この取り組みは早ければ2026年第4四半期にも開始される見通しで、前倒しされる可能性もあるという。
フランクリン・テンプルトンはこれまでも、伝統的な金融商品をブロックチェーン上で取り扱う取り組みを進めてきた。今回はさらに一歩進め、トークン化された金融商品をファンド内部の運用に活用することで、流動性や現金管理、利回りの効率化を図る。
同社のデジタル資産・イノベーション責任者であるサンディ・カウル(Sandy Kaul)氏は、より優れたMMFの選択肢を持つことで、より精緻な運用や利回りの確保、現金流動性のより厳密な管理を実現したいとの考えを示した。
トークン化とは、株式や債券、ファンド持分などの権利を、ブロックチェーンなどのデジタル台帳上で表現・管理する仕組みだ。取引・決済時間の拡大や決済の迅速化、資本効率の向上などが期待されており、大手金融機関による取り組みが拡大している。
RWA(現実資産)関連データを提供するRWA.xyzによると、同社が追跡するトークン化RWAの市場規模はこの1年で拡大し、現在約380億ドル(約6兆円)規模となっている。ブラックロック(BlackRock)やBNYなどの大手金融機関もトークン化関連事業を進めている。
今回のフランクリン・テンプルトンの取り組みは、従来型資産をブロックチェーン上で発行・管理するだけでなく、伝統的なファンドの日常的な運用にトークン化商品を組み込むものとなる。
SEC投資管理部門のスタッフは8月12日、フランクリン・テンプルトン傘下のファンドが「フランクリン・オンチェーン米国政府マネー・ファンド(Franklin OnChain U.S. Government Money Fund)」に投資し、関連会社フランクリン・テンプルトン・インベスター・サービシズ(Franklin Templeton Investor Services:FTIS)を同ファンド持分のカストディアンとする場合について、一定の条件下で法執行を勧告しないとの見解を示した。
同ファンドは、フランクリン・テンプルトンのブロックチェーン基盤「ベンジー・テクノロジー・プラットフォーム(Benji Technology Platform)」を通じて提供されている。
なお今回のSECスタッフの回答は、SECによる同商品や仕組みそのものの「承認」を意味するものではない。SECはノーアクション・レターにおいて、その内容を承認または不承認としたものではないと明記している。
カウル氏によると、各ファンドの取締役会による承認などを条件に、対象となるファンドはトークン化されたMMFを保有できるようになるという。
フランクリン・テンプルトンは世界で130本超のETFを運用し、その運用資産残高は合計約820億ドル(約13兆円)。また投資信託の運用資産残高は約7,900億ドル(約125兆円)に上るという。ブルームバーグが同社提供データとして報じている。
また同社のトークン化MMF全体の運用資産残高は約26億ドル(約4,133億円)となっているという。
カウル氏は、SECスタッフがデジタルネイティブな金融商品を伝統的な金融商品の運用に活用するこうした枠組みについてノーアクションの見解を示したのは初めてだとの認識を示している。
フランクリン・テンプルトンは今後もトークン化商品を追加し、将来的には同社のファンド群で現金管理や担保などに活用できる商品の拡充を進める方針だ。
参考:ブルームバーグ
関連ニュース