バイナンス、AIエージェント向け「Agent OS」発表。取引や市場データに接続

AIエージェントをバイナンスの金融機能に接続

暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)が、AIエージェントを同社の取引や市場データ、ウォレット、決済などの機能に接続する開発基盤「バイナンス・エージェントOS(Binance Agent OS)」を8月20日に発表した。

AIエージェントとは、利用者から与えられた目的や指示に基づき、情報の取得や外部サービスの操作などのタスクを実行するAIシステムを指す。

バイナンスは今回の発表の背景として、AIが金融上の意思決定を行う前に人間が相談するためのツールから、実際に処理を実行する機能を備えた、より自律的なシステムへ移行しつつあると説明している。

バイナンス・エージェントOSは、こうしたAIエージェントをバイナンスの金融機能に接続するためのプラットフォームおよびツールキットだ。開発者はAIエージェントに、市場データの取得や取引、ポジション管理、オンチェーン取引、決済などの機能を組み込める。

例えばAIエージェントは、市場データを取得してポジションを管理し、利用者が付与した権限の範囲内で取引を実行できる。さらにバイナンス・エージェントOSは、オンチェーンサービスへのアクセスや、AIエージェントなどによるマシン・ツー・マシン決済にも対応する。

こうしたAIエージェントとバイナンスを接続する手段の一つが、「モデル・コンテキスト・プロトコル(Model Context Protocol:MCP)」だ。MCPは、AIアプリケーションと外部のデータやサービスを接続するための規格で、AIが外部サービスの機能を利用するための接続方法を標準化する仕組みとなる。

バイナンス・エージェントOSでは、MCPのほか、バイナンスのAPIやウォレット、決済、既製のAIエージェント向けスキルなどを組み合わせて提供する。このうち「バイナンスMCPサーバー(Binance MCP Server)」は現在、市場データやアカウント情報の閲覧に加え、現物、マージン、コンバート、USDⓈ-M先物、COIN-M先物の取引や、AIエージェント専用のサブアカウント内におけるウォレット間の資金移動に対応している。取引では現物、先物、コンバートを利用できる。市場データでは、リアルタイムのオーダーブックや価格フィード、ローソク足などの値動きを時系列で示すKラインを取得できる。

またAIエージェントは、残高やポートフォリオ、取引履歴などのアカウント情報を閲覧できるとのこと。バイナンスMCPサーバーを通じたアカウント情報へのアクセスは読み取り専用となる。

なお、注文や注文取消、サブアカウント内の資金移動など、読み取り以外の操作には、その都度利用者による事前確認が必要となる。また、AIエージェントに外部アドレスへの出金権限は付与されない。

バイナンスMCPサーバーは、クロード・コード(Claude Code)、カーソル(Cursor)、コーデックス(Codex)、チャットGPT(ChatGPT)などに対応するほか、開発者が独自に構築したAIエージェントからも利用できる。

一方、オンチェーン取引や決済については、現時点でバイナンスMCPサーバーには統合されていない。開発者はバイナンスのWeb3 APIなどを利用することで、AIエージェントによるウォレット取引や分散型金融(DeFi)へのアクセスを実装できる。

また決済機能では、HTTPを通じてAIエージェントなどが自動で支払いを行うための決済プロトコル「x402」を利用したマシン・ツー・マシン決済に対応する。決済とオンチェーン機能については、今後バイナンスMCPサーバーにも追加される予定とのこと。

このほかバイナンスは、取引やWeb3ウォレットの追跡、DeFiとのやり取りなどに利用できる既製のスキルを「バイナンス・スキルズ・ハブ(Binance Skills Hub)」で提供する。開発者はこれらを利用することで、各サービスとの接続処理をすべて独自に構築することなく、AIエージェントへ機能を追加できる。

BNBチェーンではAIエージェント自体の開発基盤も

ブロックチェーンエコシステム「BNBチェーン(BNB Chain)」では、今月13日にAIエージェント開発基盤「BNBエージェント・スタジオV2(BNB Agent Studio V2)」が公開されている。

BNBエージェント・スタジオV2は、自然言語のプロンプトからAIエージェントを構築し、BNBスマートチェーン(BNB Smart Chain:BSC)へデプロイするための開発基盤だ。同基盤では、AIエージェントが決済プロトコル「x402」を利用してサービスの利用料を支払うだけでなく、自ら提供した仕事の報酬をウォレットで受け取ることも可能だ。

またBNBエージェント・スタジオV2では、新たなウォレットの選択肢「アルタナ(Altana)」を通じて、AIエージェントによる資金へのアクセスを制御する仕組みも提供する。所有者が秘密鍵を保持したまま、支出上限や許可リスト、利用可能時間などを設定し、その範囲内でAIエージェントに取引を実行させることが可能となる。

BNBエージェント・スタジオV2は、今回バイナンスが発表したバイナンス・エージェントOSとは役割が異なる。BNBエージェント・スタジオV2がAIエージェント自体の構築やBSCへのデプロイ、オンチェーンでの活動を支援するのに対し、バイナンス・エージェントOSはAIエージェントをバイナンスの取引や市場データなどの金融機能へ接続するための基盤となる。

なお、バイナンスとBNBチェーンはそれぞれ別の主体であり、今回確認した両者の発表では、バイナンス・エージェントOSとBNBエージェント・スタジオV2を直接統合する計画は示されていない。

参考:バイナンス専用ページ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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