トランプ氏、ハイパーリキッドの米国展開に言及
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、分散型デリバティブ取引基盤「ハイパーリキッド(Hyperliquid)」について、「法令を順守した形で米国に導入するための取り組み」が進められていると8月19日に言及した。ホワイトハウスで開催された暗号資産(仮想通貨)・テクノロジー業界関係者や規制当局トップらとの会合で述べた。
ハイパーリキッドは、独自のレイヤー1ブロックチェーンで現物取引やパーペチュアル(無期限先物)市場を提供する分散型取引基盤だ。米国に居住・所在する個人や米国で設立された法人などは利用制限の対象となっている。米国では、同プラットフォームが主力とする暗号資産デリバティブを提供する場合、CFTCへの登録や、顧客保護・市場監視などの規制要件への対応が課題となる。
このような中、トランプ氏は会合で、「マイク(Mike)がハイパーリキッドを完全に法令に準拠した形で米国に導入するためにも取り組んでいると承知している。彼はそのために非常に懸命に取り組んでいる」と述べた。この「マイク」は、米商品先物取引委員会(CFTC)のマイケル・セリグ(Michael Selig)委員長を指すとみられる。
今回の発言は、ハイパーリキッドの米国展開が正式決定したことや、規制当局による承認を意味するものではない。また、トランプ氏は具体的な導入方法や時期にについては触れなかった。
なお、暗号資産価格サイト「コインゲッコー(CoinGecko)」によると、ハイパーリキッドのネイティブトークン「HYPE」は、トランプ氏がハイパーリキッドについて言及した後に上昇した。記事執筆時点の日本時間8月20日10:00時時点で69.38ドル(約10,995円)となっており、24時間比で18.3%上昇している。
米国展開を巡る議論が続く
ハイパーリキッドを巡っては、米国で規制に準拠したオンチェーン市場へのアクセス実現を目指す動きもある。今年2月18日には、分散型金融(DeFi)が米国で発展するための明確な規制の道筋の構築を掲げる独立系の調査・政策提言組織「ハイパーリキッド・ポリシー・センター(Hyperliquid Policy Center:HPC)」が正式発足した。同団体は、ハイパーリキッドを含むオンチェーン市場について、米規制当局への政策提言を行っている。
一方で、今年5月には、デリバティブ取引所大手のCMEグループ(CME Group)と、ニューヨーク証券取引所(New York Stock Exchange:NYSE)を運営するインターコンチネンタル・エクスチェンジ(Intercontinental Exchange:ICE)が、ハイパーリキッドにCFTCへの登録を求めるよう、CFTCや議会関係者に働きかけていたと「ブルームバーグ(Bloomberg)」が報じていた。両社は、本人確認を伴わない取引環境が、市場操作や制裁逃れに悪用される可能性のほか、原油の指標価格をゆがめるリスクなどについて懸念を示していた。
こうした中、HPCは米証券取引委員会(SEC)や米商品先物取引委員会(CFTC)へ複数のコメントレターを提出した。また、HPCなどは7月14日、SECの暗号資産タスクフォースとの会合で、ハイパーリキッドの技術や市場、関連するエコシステム参加者について説明した。
このように、ハイパーリキッドを巡っては、米国で制度整備に向けた議論が進められている。一方で、既存のデリバティブ取引所などからは規制上の懸念も示されており、制度設計を巡る議論が続いている。
トランプ氏は同日の会合で、暗号資産市場構造法案「クラリティ法(CLARITY Act)」についても、「議会は公正な内容のクラリティ法を可決する必要がある」と述べた。また、ドル連動型ステーブルコインの普及を促す「ジーニアス法(GENIUS Act)」の成立、戦略的ビットコイン準備金の創設、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の創設を禁じる大統領令など、自身の政権が進めてきた暗号資産政策についても改めて説明した。
NEW: President Trump says the CFTC is working to bring Hyperliquid to the U.S. “in a fully compliant and legal fashion.” pic.twitter.com/BJTsuZo1c9
— CoinDesk (@CoinDesk) August 19, 2026
参考:トランプ大統領演説
画像:Reuters